那珂川を「集いの水辺」に 福岡市が文化施設や公園を整備へ

拠点文化施設の建設が進む須崎公園(中央右)と那珂川

記事 INDEX

  • 新たな拠点文化施設
  • 水鏡天満宮を再配置
  • 回遊性の向上が課題

 福岡市の都心部を流れる那珂川の水辺に2025年以降、文化施設や公園などの新たな施設が次々に完成し、一帯が変貌(へんぼう)する。「アジアのリーダー都市」を目指す市が進めるまちづくり事業「リバーフロントNEXT」の一環で、民間投資も誘導しながら、街の魅力をさらに高めるのが狙いだ。一方、各スポット間の回遊性向上や、川沿いから博多港のウォーターフロント地区まで人の流れをつくっていけるか、などが課題になりそうだ。

新たな拠点文化施設

 12月上旬、2級河川・那珂川の河口付近にある須崎公園(福岡市中央区)は、周辺を白い囲いに覆われつち音が響いていた。内部では、25年春の供用開始を控えた拠点文化施設の建設が進んでいた。

 拠点文化施設は、同公園に隣接する市民会館が老朽化したため、代替施設となる。地上5階建てで、大、中、小の三つのホールや3室の練習室などを備える。



 市の計画では同施設の供用開始後、市民会館は取り壊し、跡地は27年3月に公園として再生する。水辺に親しんでもらうため、川に下りる階段も整備する計画だ。市は建設と公園再整備に約252億円を投じる。


 約3年ぶりに同公園を訪れた福岡市東区の男性(81)は「那珂川の周りをきれいにして、市民や観光客でにぎわう場所になるといいですね」と話した。

 市住宅都市局公園部政策課は「これまでの川に背を向けたまちから、川に開かれたまちになる」と語る。



 また市は、須崎公園の北側にあるボートレース福岡の駐車場でも、24年度以降、スケボー場やイベント会場を整備し、集客につなげる「パーク化」を図りたい考えだ。


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水鏡天満宮を再配置

 福岡市の再開発促進策「天神ビッグバン」でも、川沿いの再整備が行われる。東端エリアにあたる「天神1丁目15・16番街区」では、30年以降に複合高層ビルの建設が予定されている。この事業では、現在、川から約75メートル西側にある水鏡天満宮を川の近くに再配置し、周辺に公園を整備する計画で、川辺一帯は様変わりすることになる。



 さらに、今夏にはリバーフロントを巡り大きな動きがあった。市が、大型商業施設「キャナルシティ博多」のそばにある那珂川沿いの「清流公園」について、春吉橋の架け替えに伴い建設された迂回(うかい)路橋(橋上エリア)と公園南側エリアを、民間資金を活用する公園整備事業(パークPFI)で一体的に再整備すると発表した。



 市は10月に地場デベロッパーの福岡地所(福岡市)などと事業基本協定を締結。同社によると、南側エリアには、南北に延びる大きなウィング状の建物が特徴の施設を新設し、イベントができる空間やカフェなども誘致する予定だ。迂回橋には緑あふれる憩いの空間を整備する。24年度に着工し25年春から順次、供用を開始する。



回遊性の向上が課題


 今後は新しいスポット間の回遊性向上や、川沿いからウォーターフロント地区に人の流れをつくり、にぎわいを面としてひろげていけるかが課題になりそうだ。

 福岡都市圏の成長戦略を検討するため、産官学でつくる「福岡地域戦略推進協議会(FDC)」の中牟田徳将ディレクターは「整備計画は一定程度でそろったので、これからは、歩きたくなる歩道の整備や、人が集まるイベントなどの仕掛けが必要だ」と強調する。



 福岡市都心創生課は「効果的な案内サインを設置するなどし、回遊性を高めたい」としており、まちづくりの行方が注目されている。


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