記事 INDEX
- 福岡×シェアサイクルって?
- 移動をもっと楽しく♪♪
- サービスもエリアも拡充
5月5日は正しく安全に自転車に乗るための法律が施行された「自転車の日」、5月は「自転車月間」です。そこで今回は、福岡市で本格的な事業展開が始まったシェアサイクルの話。実証実験を担った「メルチャリ」から「チャリチャリ」へ、4月1日にサービスの名称を変更し、シェアサイクルのさらなる普及をめざす「neuet(ニュート)」(東京)の代表取締役・家本賢太郎さんに聞きました。
福岡市のシェアサイクル
メルカリが2018年2月、「メルチャリ」の名でサービスを始め、同年6月からは福岡市との実証実験に。街なかの専用駐輪スペース「ポート」で自転車を借り、使ったあとは最寄りのポートに返却する。赤い自転車が目印で、利用料は1分4円。専用アプリで、会員登録や自転車の開錠・施錠、料金の管理などを行う。メルチャリの事業は2019年8月、ニュートに譲渡され、2020年4月から福岡市とニュートによる「福岡スマートシェアサイクル事業」がスタートした。
家本賢太郎さん
ニュート代表取締役社長CEO。メルチャリ事業の立ち上げ時から、車体設計や渉外などに携わり、福岡市との「福岡スマートシェアサイクル実証実験事業」を支えた。2019年6月にニュートを設立、メルチャリの事業を譲り受け、2020年4月から本格展開に乗り出した。
福岡はシェアサイクルに適した街
――「メルチャリ」から「チャリチャリ」に名称が変わりました。
名前は本当に悩みました。みんなに口にしてほしいから肩ひじ張ったものではなく、思わず笑っちゃうものにしたかった。最初は僕も口にするのが恥ずかしかったけど(笑)、誰も気にしなくなるくらい、福岡のみなさんの日常に溶け込めたら。
――福岡とシェアサイクルの相性は?
人口が100万人以上いる日本の都市で、シェアサイクルが最も合う街は福岡だと思います。街の機能やサイズが自転車向きで、エリアがフラットなのも魅力です。
――「メルチャリ」のスタート時に福岡を選んだ理由は?
大きく二つあります。一つ目は街の戦略が明確でした。「都心部への自動車流入抑制」「回遊性の向上」「放置自転車の減少」なんですが、課題が明確だと対応を考えやすい。二つ目は、若い会社を受け入れてくれる街であることです。
まちの移動の、次の習慣をつくる
――メルチャリの事業譲渡を知ったとき、「もう乗れなくなるの?」と思いました。
ネットの書き込みなどでは「メルカリが事業を手放した」というネガティブな印象を持たれましたが、僕はむしろ喜んで「やらせてください」と手を挙げたんです。1日あたりの利用は現在6000回を超えていますが、福岡に根づいたとはまだまだ言い難い。さらに利用しやすいように、ポートを再配置したり、自転車の台数を見直したり、データを見ながらバランスを考えていきます。
――「福岡の日常」になるために必要なこととは?
僕自身、世界中のシェアサイクルの実例を見てきました。それぞれの良い部分を取り入れつつ、幅広い世代が使えるようにしたい。アプリの導入、そして利用も決済もできるだけシンプルにすることを心がけています。自転車の整備も大切です。チェーンが「ギコギコ」いったり、ブレーキが「キーッ!」って音を立てるのは嫌だし、さびた自転車が走っている街はカッコよくない。毎日乗りたくなるように環境を整えていけば、習慣化にもつながると思います。
――この事業で大事にしていることは?
僕らは「シェアサイクルをやりたい」と思っているわけではありません。「まちの移動の、次の習慣をつくる」ことが、私たちの会社のミッションです。公共交通機関に取って代わろうとは思っていません。幹になる部分と組み合わせて、移動をさらに便利することを実現していきたいですね。
――移動が楽しくなるのはいいですね。
外に出てお日様を浴びることは、体の健康のためにも、心の健康のためにも大切です。風を感じること、街のにおいを感じることは、人間を豊かにすると思います。
広がる「チャリチャリ」の輪
――これから事業が本格化します。
福岡市の力を借りながら、ポートも自転車も増やしていきます。エリアの拡大や電動アシスト自転車の導入も準備しています。住民だけでなく、観光客にも気軽に楽しんでもらえたらと思います。
――福岡以外の地域にもチャリチャリが登場しますか。
はい。ほかの街にも出ていく予定です。ただ、自分たちが成り立つ事業モデルを確立する必要があります。昼間人口の密度や地域性、街の環境など、あらゆるデータを見ながらエリア展開を進めます。福岡は僕らにとって「マザー・シティ」です。今後も新しいサービスができたら、最初に福岡のみなさんに試してもらいたいですね。
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