「能登カキ」のピザを販売 地震被災地の取引先をおいしく応援

能登カキを使ったピザを手に支援への思いを語る魚本さん

 能登半島地震で被災した取引先を応援しようと、北九州市でピザの製造・販売を行う会社「ビッグベアーズフーヅサービス」が、石川県七尾市の「能登カキ」を使ったピザを開発し、全国販売を始めた。特産品を消費することで継続的に支援するのが狙いで、同社は「能登カキのおいしさを全国に広めたい」としている。

濃厚な味わいが特徴

 開発したのは「能登牡蠣(かき)のアヒージョピザ」(直径20センチ)。能登カキは小ぶりながら濃厚な味わいが特徴で、ニンニクを利かせてオリーブオイルで煮込んだものをピザにトッピングした。

 創業40年の同社は自社で企画・製造したピザを販売するほか、OEM(相手先ブランドによる生産)も手がける。OEM事業担当の谷美紀さん(59)によると、七尾市のカキ養殖・販売業「おうた水産」から2022年、傷などで出荷できないカキを使ったピザの開発・製造を受注。おうた水産の往田哲史(さとし)さん(44)とやりとりをしながら、約2年かけてカキをペースト状にしたOEM商品を開発した。23年10月に第1弾の40枚を出荷し、その後、24年1月1日、地震が発生した。


ビッグベアーズピザの小倉本店


 往田さんはその日、七尾市内の作業場で発送準備を終えた後、初詣先の神社で被災した。家族は無事だったが、来季にかけて出荷する予定のカキ棚の一部が破損。作業場も被災し、被害額はカキ棚だけでも最大1000万円ほどになる見込みという。


宅配とオンラインで

 おうた水産の被災を知り、谷さんやビッグベアーズフーヅサービス社長の魚本法一さん(68)は社内にプロジェクトチームを発足。同社は11年3月の東日本大震災の際にも被災者にピザ2500食を提供したことがあり、その経験から「一時的な支援だけでは十分ではない」との思いがあったという。

 今回は「被災地の食材を仕入れて消費することで、被災者のなりわいを継続的に支えよう」と話し合い、OEM商品とは別に新たな能登カキの商品を全国に向けて販売することにした。


自社サイトで紹介している「能登牡蠣のアヒージョピザ」


 ピザは3月から販売し、北九州市や苅田町、宇美町などに展開する12店舗で配達(1980円)するほか、冷凍商品をオンラインショップ(1815円、送料別)で全国販売している。往田さんは「今季は出荷もままならず、収入も見込めなかった。支援の気持ちはありがたい」と喜ぶ。


 魚本さんは「能登カキのファンを増やすことが、私たちにできる一番の支援だと思っている。ピザを通じて被災地への関心が高まり、復興にもつながってほしい」と話している。


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