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北九州発祥のうどんチェーン店「資さんうどん」に行くと、メニューに「ぼた餅」(おはぎ)が並んでいます。なぜ、うどんに和菓子? 今回は、資さんうどんの名物、ぼた餅について調べてみました。
ぼた餅がうどん店にある不思議
資さんうどんは1976年に創業し、北九州市を中心に福岡、佐賀、山口県などで約50店を展開しています。うどん、丼など約100種のメニューがそろい、子どもからお年寄りまで幅広い世代に愛されています。店ではすっかり定番商品になっているぼた餅ですが、初めて訪れた客は「うどん屋にぼた餅?」と不思議に思うようです。
街の成長を支えたソウルフード
北九州は日本の重工業を支えてきた街です。工場や物流会社が軒を連ね、高度成長期には昼夜を問わず稼働を続けました。体を酷使して働く人が、手軽に空腹を満たすため立ち寄ったのが小倉の屋台だったそう。屋台では、ぼた餅などの和菓子も提供され、重労働で汗を流す人々にとって、食事のあとに甘いものを口にするのは至福のひとときだったようです。
資さんうどんを創業した大西章資さんは、食後に甘いぼた餅を食べることが「明日の活力」になるという北九州の文化を大切にし、店で出す食事に合う塩梅のぼた餅を夫婦で考えたそう。一つひとつ手作りしたぼた餅はたちまち評判を呼び、店頭だけでなく催事などに出してもすぐ売り切れる人気になったといいます。
今も手作り、こだわりの味
現在も店内で丁寧に手作りしているぼた餅は、食品添加物を使っておらず、賞味期限は一日しかありません。北海道産の小豆を100%使用した粒あんは、ふっくら、つややかに仕上がり、甘さが控えめ。もち米とのバランスが絶妙です。
店内には持ち帰り用にパック詰めされたものもあり、ぼた餅だけを求めて来店する人も少なくないそう。春の彼岸では1週間に20万個を販売し、年間400万個以上が売れる看板商品なのです。
うどん&ぼた餅は相性抜群!
店で、うどんとぼた餅を注文すると、先にぼた餅が運ばれてきます。やさしい甘さに舌鼓を打っていると、追ってうどんが登場。だしの旨みとしょっぱさがぼた餅とよく合い、それぞれの味を引き立ててくれるので、いっそう美味しくいただけました。
6月10日は、日本記念日協会が認定している「うどんと和菓子をいっしょに食べる日 」です。うどんと和菓子の専門店「ちから」(広島市)が2019年、会社の創業記念日に合わせて登録しました。
北九州に限らず、うどんと和菓子を一緒に楽しむ食文化はそれぞれの地域で受け継がれているようです。「まだ」という人は、ぜひ一度、試してみてください。