飯塚の町工場が手がける車いすが軽い!丈夫!おしゃれ!

様々な工夫を施し、デザインにもこだわる車いす(提供:ヨシズカシステムプロダクト)

記事 INDEX

  • 精密加工の技術力をいかして
  • 「軽い」と「丈夫」を両立
  • 乗る人の心地よさを追求

 福岡県飯塚市の町工場が手がける車いすが、「軽くて丈夫」と好評です。精密機器加工で培った高い技術力を駆使して、一般的な鉄製の車いすより4割ほど軽量化し、パーツの取り換えが簡単にできるようにしました。気鋭のデザイナーと手を組み、斬新なデザインも取り入れています。


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利用者の声から製品化

 この車いすを製造するのは、1968年創業の金属加工会社「吉塚精機」です。国内からの受注を中心に、半導体関連装置やロボット関連部品の製造などを手がけています。新製品の開発を検討する際、車いす生活の家族がいる社員から「車いすは重くて、介助者の負担が大きい」という声が上がったこともあり、グループ会社「ヨシズカシステムプロダクト」で2013年から車いす開発に乗り出しました。


カラフルな車いすに囲まれる池さん(左)と小野さん

 車いす利用者の声を聞くと、既存製品の多くは鉄製のパイプを溶接してフレームを作るため、接合部分が壊れるケースが多いことが分かりました。また、障害や体形に合わせたオーダーメイドの場合は部品を海外に頼ることも多く、取り寄せや修理に数か月かかることがあるという課題も浮かび上がりました。

 新たに開発した車いすは、鉄製パイプの代わりに軽いアルミ合金板を使って重量を約10キロに抑制。これを削り出す手法を用いて、溶接部分がない丈夫なフレームを製作しました。また、自社製のパーツをボルトで固定する仕組みを開発し、パーツの取り換えを可能にしました。これにより、利用者の成長に合わせたサイズ変更や電動装置の取り付けなどに対応でき、車いすの買い替えに伴う出費を抑えられるようになりました。精密なボルト穴の加工、左右均等の重量配分も実現し、丈夫さや安定性の向上にもつなげました。


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デザインも重視した製品開発

 デザイン面でも工夫を凝らしています。フレームやシートの色を自由に選べるようにし、開発直後の2015年にはグッドデザイン賞を受賞。最近では、障害や性別にかかわらず楽しめるファッションをテーマに、東京コレクションにも参加するファッションブランド「tenbo」(東京)と共同で、地球をデザインした製品を開発しました。


「tenbo」とコラボした地球柄の車いす


 ヨシズカの車いすを利用する二分脊椎症の池幸さん(福岡市城南区)は「バスに乗るときなどは肩身が狭かったけど、かわいい車いすに乗っていると、注目してくれているようで心がはずむ」と笑顔を見せます。

 障害や体形に合わせたオーダーメイドのため、価格は一般的な車いすより割高で、1台約22万円からとなります。市場が限られるため受注は月に数台ですが、営業統括主任の小野哲大さんは「車いすは利用者と一心同体。乗る人が心地よくなる車いすを作り続けたい」と話しています。


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