福岡市がハンコレスを実現 国に先駆けて申請書類の押印を全廃
記事 INDEX
- 福岡市の書類3800種でハンコレス
- 国に先駆けて全廃達成
- 市役所内の回覧文書はハンコレス?
福岡市が、すべての申請書類の押印を廃止する「ハンコレス化」を実現しました。行政手続きのオンライン化を加速しようと昨年から取り組みを進め、新型コロナウイルスの感染防止対策のため、当初の計画を半年前倒しして全廃を完了させました。
福岡市の書類3800種でハンコレス
福岡市によると、押印が不要になったのは、公共交通機関の運賃が助成される「高齢者乗車券等交付台帳」や保育所への入所手続き関連の申請書など、福岡市のみで行政手続きが完結する申請書類です。
押印の必要がない申請書類は昨年1月時点で700種類でしたが、今年4月には2700種類に増加。新型コロナの感染拡大を受けて、行政手続きのオンライン化を加速させようと、9月末までに3800種類あるすべての書類から押印を廃止しました。
婚姻届など、国や福岡県の法令によりハンコレスにできない900種は、引き続き押印が求められます。
市役所内の回覧文書はハンコレス?
国に先駆けてハンコレスを達成した福岡市。でも、記者は思いました。「そうは言っても、当の市役所内はハンコ文化なんでしょ?」。ハンコレス化を担当した福岡市総務企画局の中川原敬子総務課長にぶつけました。
――国でも河野行政・規制改革相が押印の廃止に取り組み始めました。福岡市は一歩リードですね。
役所の窓口では、押印がないだけで書類を受け付けられず、市民に不便をかけるケースも多々ありました。新型コロナもあり、オンライン化による「スマート行政」を推進すべく、取り組みを急ぎました。
――これだけあっという間にハンコレス化を実現できたのに、どうして今までしてこなかったのですか。
日本には印鑑文化が根付いていましたので、本人確認のため慣習的に押印が続いてきました。
――本人確認ですか。
印鑑登録された実印のようなものならともかく、認印に必ずしも本人確認の効果があるかと言われれば、ご指摘の通りです。
――役所で回覧される書類には「課長」「部長」など閲覧した人が押印する欄があるイメージですが、役所内のハンコレス化は?
市役所内で回覧する書類に関しても電子化が進み、多くは押印を廃止しています。