アートだけじゃない! 美術館のカフェで「食」も楽しもう!!

大濠公園が一望できる福岡市美術館のレストラン「プルヌス」

記事 INDEX

  • 窓外の夜景を楽しみながら
  • 都心でゆったり過ごす時間
  • 地元食材こだわりメニュー

 アートを鑑賞するだけでなく、併設のカフェやレストランでおいしい食事を楽しめる美術館が増えている。芸術やグルメの秋、洗練された空間で味わう食を目当てに美術館へ足を運んでみませんか。

窓外の夜景を楽しみながら

 10月下旬の夜、北九州市立美術館(北九州市戸畑区)にある「カフェ・ミュゼ」。市内の病院職員ら約20人が、大きな窓の外に広がる市街地の夜景を見ながら、前菜やパスタ、魚、肉料理などのコースを味わっていた。幹事の男性は「眺めが素晴らしく、ひと味違った環境で食事を楽しめました」と笑顔を見せた。


街の夜景を眺めながら食事ができる北九州市立美術館の「カフェ・ミュゼ」


 世界的な建築家・磯崎新さんが設計した同館は、小高い丘の上に立ち、遠く関門橋まで見渡せる。カフェは、大正時代に料亭として創業した同市の千草ホテルが運営し、同館の改修に合わせて2017年、パーティーにも対応できる内装に一新された。


 通常は日中の営業だが、市が国際会議などの誘致や夜景観光に力を入れていることから、19年から夜景を楽しめるパーティープラン(20~50人、1人7700円)を始めた。平日の午後5時半~8時半で、コース料理にビールなどのフリードリンクが付く。

 支配人の井上忍さん(47)は「特にこれから冬にかけては空気が澄み、景色がよく見える。素晴らしいロケーションを多くの人に知ってもらいたい」とPRする。


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都心でゆったり過ごす時間

 福岡市の大濠公園内にある福岡市美術館では、ホテルニューオータニ博多が運営するカフェとレストランが人気だ。

 カフェ「アクアム」は同館の大規模改修に伴い、19年に1階に新設された。店名はラテン語で「水辺」を意味し、ガラス張りの店内やテラス席から、大きな池が広がる公園の景色を満喫できる。


カフェ「アクアム」のソフトクリーム「Wind大濠」。右奥に立つのが屋外彫刻


 同館ならではのメニューとして、21年に設置された屋外彫刻「ウィンド・スカルプチャー(SG)2」にちなみ、カラフルな模様を色鮮やかなチョコレートで表現したソフトクリーム「Wind大濠」(770円)を販売している。


 公園を一望できる2階のレストラン「プルヌス」は、午後8時半まで営業し、夕日や夜景を楽しめる。肉か魚のメイン料理にスープやデザートなどが付く「ミュージアムセット」(2420円)や、季節ごとに内容が変わる特別メニューなどがある。展覧会に合わせたメニューも企画し、今夏の「ハローキティ」の特別展では、キティをかたどったカレーを提供した。結婚披露宴にも使われるという。

 カフェとレストランの支配人を務める中島一暢(かずのぶ)さん(38)は「日常の喧騒(けんそう)から離れ、ゆったりとした時間を過ごしてほしい」と話す。

地元食材こだわりメニュー

 大分県立美術館(大分市)の「カフェ シャリテ」は、同館を設計した坂(ばん)茂さんが内装をデザインした。いすや間仕切りには、再生紙から作った筒状の素材「紙管(しかん)」が使われている。独創的で温かみのある空間で、豊後牛のハンバーグ(1800円)や大分名物とり天(1200円)など地元食材にこだわった料理が味わえる。


㊧大分県立美術館の「カフェ シャリテ」 ㊨長崎県立美術館のカフェ (いずれも提供写真)


 隈研吾さんが建築デザインを手がけた長崎県美術館(長崎市)のカフェは、運河をまたぐ通路にある。運河の流れや町並みを眺めながら、長崎名物の角煮を使った「いろどり野菜長崎角煮ごはん」(1200円)や、国内有数のスペイン美術のコレクションにちなんだスイーツが楽しめる。


来館のきっかけに

 ブログ「青い日記帳」で展覧会の情報などを発信している中村剛士さん(57)によると、美術館のカフェやレストランといえば、かつてはおまけのような存在だったが、2010年頃から美術館の改修や移転に合わせて内容を充実させたり、新設したりするケースが増えた。人が集い、行き交う場にしようという動きも背景にある。

 コロナ禍以降は、体験を重視するようになった若い人の間でも人気が出ているという。中村さんは「新たな気付きを得られたり、リフレッシュできたりするのが美術館の魅力。カフェやレストランをきっかけに、美術に縁遠かった人にも魅力や楽しさを知ってもらえる」と話す。


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