愛すべき「通りもん」がいて イオン屋上に教習所がある【SNS福岡2020後編】

記事 INDEX

  • ドラマ効果で知名度が全国区に
  • 福岡のレア感を大切に
  • イオン屋上に教習所コース

 世界が新型コロナウイルスと対峙した2020年もあとわずか。「3密」「ステイホーム」「withコロナ」など、毎日のように生まれる新語がメディアを飛び交った1年でもありました。そんな中、編集部は「コロナじゃない」福岡発の四つのニュースに注目しました。今年、SNSをにぎわせた福岡の話題を前後編に分けて振り返ります。

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「ゆるさなーーーーーーい」

 福岡の土産物として親しまれている「明月堂」(福岡市博多区)の名菓「博多通りもん」が一躍、全国区になりました。


博多通りもん(提供:明月堂)


 きっかけは、歌手・浜崎あゆみさんの半生を描いた小説をドラマ化した「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系)。作中に登場する姫野礼香(田中みな実)の眼帯が通りもんに似ていると話題に。明月堂も機を見るに敏。ドラマのスポンサーに加わり、通りもんのテレビCMが全国のお茶の間に流れました。

 話題を後押ししたのが、姫野を演じた田中さんの怪演。恋敵のアユ(安斉かれん)に「ゆるさなーーーーーーい」と凄み、レコード会社「A VICTORY」の専務・マサ(三浦翔平)には手作りのアルバムを広げて「ジャ〜ン! メモリー オブ マサ」と、視聴者を飽きさせない「パワーワード(印象的な言葉)」を次々と繰り出しました。


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創業初の全国テレビCM

 「新型コロナウイルスの影響で売り上げが大きく落ち込んでいたときに、思いもしない話題でした。眼帯ね、確かに似てるなと思いました」。明月堂の秋丸真一郎社長は笑顔で語ります。

 福岡では「博多どんたく」「博多祇園山笠」など、観光客が訪れるイベントが相次いで中止・延期になり、土産の需要は冷え込んでいました。ドラマ効果によるオンライン販売の伸びが業績を下支えしたそうです。

 ドラマは新型コロナによる中断期間を経て再開。そのタイミングで明月堂は番組スポンサーに名を連ねました。

 「私たちは福岡都市圏を中心とした北部九州エリアでしか商いをしていません。全国CMは悪ノリしたところはありますが、一緒になって話題を楽しむことで好意的な反応を多くいただきました。CM放送後、オンライン販売は好調でした」


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福岡だけのレア感を大切に

 博多通りもんは、前社長の秋丸卓也氏(2017年死去)が「どこにもないまんじゅうを開発する」と企画。開発に3年半を要し、バターを混ぜた白あんを生クリーム入りの皮で包んだ新しい名菓が生まれました。

 年間6400万個を製造するヒット商品となり、2019年6月には「世界一売れたあんこまんじゅう」としてギネス世界記録に認定されました。


ギネス世界記録の認定証を受け取る秋丸社長(左)

 全国での知名度は上がりましたが、百貨店の催事などを除き、店頭販売は福岡都市圏に限定する方針は変えていません。秋丸社長は「福岡でしか買えないレア感は大切です。ただ、コロナ禍でネット通販の可能性も実感しました」と話し、オンライン販売の強化を計画しているそうです。


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