クリスマスに北九州のNPO「抱樸」が炊き出し コロナ禍でのホームレス支援とは

持参したビニール袋に弁当を受け取る生活困窮者(左)

記事 INDEX

  • クリスマスに年内最後の炊き出し
  • 弁当に手書きのメッセージ
  • 相談者数は昨年の倍

 生活困窮者を支援している北九州市のNPO法人「抱樸(ほうぼく)」がクリスマスの12月25日、北九州市小倉北区の勝山公園で年内最後の炊き出しを行いました。新型コロナウイルスの影響で仕事をなくし、生活基盤を失う人が相次いだ今年、生活困窮者を間近で見てきた奥田知志代表に話を聞きました。

弁当に手書きのメッセージ

 炊き出しは1988年から続けられています。抱樸によると、1988年に「北九州日雇越冬実行委員会」を結成して炊き出しを開始。2000年に前身の「北九州ホームレス支援機構」、2014年からは抱樸として活動を継続しています。現在は週2回(12月~2月は週1回)で、会場に来られない人へも弁当や薬を持って出向き、安否確認を行っています。


家族で参加するボランティアも多かった(写真奥)


勝山公園では約40人に弁当が手渡された

 今年最後の炊き出しにはボランティア約40人が参加。約100個のお弁当を用意し、使い捨てカイロやマスク、防寒用の衣類も配りました。

 コロナ禍における炊き出しでは、飛まつ感染を防ぐ透明のシートをテントに取り付け、弁当を受け取る列の間隔を確保するため地面に目印のテープを貼るなど、感染防止策が講じられていました。


炊き出しの準備をするボランティア


飛沫感染を防ぐ透明のシートをテントに取り付けた

 弁当には「くれぐれもお体を大切に」など手書きのメッセージが添えられ、ボランティアは「メリークリスマス」と声をかけながら手渡していました。

相談者数は昨年の倍

 厚生労働省によると、離職や収入減などで困窮する人の家賃相当額を自治体が肩代わりする「住居確保給付金」の支給決定は今年4~10月で11万271件に急増。リーマン・ショックなどで最多となった2010年度の3万7151件を大きく上回っています。

 生活費を無利子で貸し付ける「緊急小口資金」「総合支援資金」は、12月19日時点で約137万6000件、金額にして5434億円の支給が決定し、リーマン・ショックや東日本大震災の影響で申請が増えた2009~2011年度の3年間(約20万5000件)の6倍を超え、さらに増え続けています。


奥田代表はコロナ禍により生活基盤を失った人へのできるだけ早いサポートを訴える

 コロナ禍の実情について、奥田さんは「抱樸への今年の相談者数は昨年の倍です。今後、住居確保給付金などでしのいでいた人たちが家賃を払えなくなり、住居を失う人が増えるのではないかと心配しています」と明かします。

 厚労省が昨年1月に実施した調査によると、全国で確認されたホームレスは4555人。福岡県は東京都、大阪府、神奈川県に次いで全国4番目に多い250人でした。


手書きのメッセージが添えられた弁当

 「コロナ禍によって表面化した生活困窮者の問題は、非正規雇用や性別による収入格差など、リーマン・ショック以降に積み残してきた構造的な課題です。この宿題にきちんと取り組まないと、同じことが繰り返されます」。奥田さんは指摘します。

 炊き出しに参加したボランティアの一人は言います。「炊き出しは私たちと生活困窮者をつなぐ出会いのきっかけです。彼らが『困っている』と言い出せる関係性をつくり、もう一歩先のサポートにつなげる場所です。コロナ禍にあってもここの灯りは消したくありません」



この記事をシェアする