我慢せずに楽しんで 「アレルギー対応食」でおいしい時間!
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記事 INDEX
- 小麦を使わないピザ
- 天ぷらの衣を米粉で
- スイーツも安心して
食物アレルギーがある人にもおいしい食事を楽しんでほしい――。そんな願いを込めて、アレルギーの原因となる小麦や卵、乳製品を使わずに作った食べ物がいろいろ登場している。
小麦を使わないピザ
北九州市のピザ製造会社「ビッグベアーズフーヅサービス」は、小麦を使わない冷凍ピザ「グルテンフリーマルゲリータ」(1728円)を4月からネット販売している。卵と乳も使用していない。
開発に着手したのは3年ほど前。同社冷凍事業部の谷美紀さん(58)がめい一家に自社のピザを贈ったところ、めいの息子は小麦・乳・卵のアレルギーがあって食べられないと知ったことがきっかけだった。
通常は小麦粉で作る生地には米粉を使用。乳製品のチーズの代わりにココナツオイルから作られた植物性チーズを探し出し、味のバランスを見ながら試作を重ねた。
食物アレルギーは、ごく少量の摂取でも発症することがある。グルテンフリーマルゲリータは通常のピザと同じ工場で作るが、製造日を分け、作業台を拭き上げるなどして小麦などが混入しないよう気を配る。谷さんは「アレルギーがある人が食生活で諦めることのないよう、お手伝いしたい」と力を込める。
天ぷらの衣を米粉で
2019年にオープンした福岡市早良区の「米粉てんぷら工房 天」では、米粉を使った衣で天ぷらを揚げる。米粉は小麦粉よりも油の吸収率が低く、サクサクとした食感が長続きするという。
衣は米粉を卵で溶くが、卵アレルギーの人には水で溶いたものを用意する。しょうゆにも小麦が含まれるため希望に応じてグルテンフリーの天つゆを提供し、新しい油を入れた別鍋で揚げる。
店主の泉川駿助さん(20)は「何十年ぶりに天ぷらを食べたというお客さんもいる。小麦粉の天ぷらよりおいしいという自信がある」と胸を張る。
スイーツも安心して
スイーツも楽しめる。同市西区のケーキ店「しあわせ工房」では、小麦・乳・卵を使わないホールケーキやショートケーキなど約30種を販売している。
スポンジには、キビから作られた「ホワイトソルガム粉」を使用。卵の代わりにベーキングパウダーで膨らませ、植物油を加えて生地をなめらかにする。
豆乳由来のホイップクリームで華やかにデコレーションして、子どもの似顔絵を描くオーダーも受け付ける。
オーナーの椛島浩二さん(58)は「子どもにとって、ケーキは特別な物。喜んでもらえるよう、日々新しいデザインを考えている」と話す。
■「グルテンフリー」でも注意を!
医師らで作るNPO法人福岡食物アレルギーネットワークの理事長で、国立病院機構福岡病院アレルギーセンター顧問の柴田瑠美子さんに、食物アレルギーがある場合の注意点を聞いた。
ハムやソーセージ、ステーキ肉などは、牛乳に含まれるたんぱく質「カゼイン」が加えられていることがある。また、商品に「グルテンフリー」と表記されていても、グルテンは小麦のたんぱく質の一種で、別の小麦たんぱく質が含まれていることがあるため注意が必要だ。
同じ厨房(ちゅうぼう)で小麦や乳などを使ったメニューを作る店では、微量の混入も考えられるため、心配な場合は店に確認するとよい。
「食品を提供する店では、働く人全員がアレルギー成分の有無について知っておいてほしい。対応できる店が増えるよう期待します」と話す。
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