息子の小食が出発点に 子どもの栄養を補う「ふりかけ」を開発

「mogふりかけ」を手にする小浦さん

記事 INDEX

  • 自身の子育ての経験から…
  • バランス良く1食分の栄養
  • 家庭の「食べる」を応援!

 「子どもがご飯を食べてくれない」「偏食や小食で心配」……。こうした悩みの解決につながればと、福岡市の栄養補助食品メーカー「mog(モグ)」が、ビタミンやミネラルなど20種類以上の栄養素がとれる「mogふりかけ」を作りました。社長の小浦ゆきえさんは「食べることがうまくいかない子が、楽しく食べられるような支援ができれば」と話します。

自身の子育ての経験から…

 小浦さん自身が子育てを経験する中で、子どもの小食に悩んだことが開発のきっかけだったそうです。


 調理の方法を変えたり、盛りつけを工夫したりしても、ご飯をあまり食べてくれない日も続いたといいます。栄養面を心配して無理に食べさせようとすれば、さらに嫌がって食べなくなる悪循環。楽しいはずの食事を苦痛に感じるようになりました。


「モグモグ食べて」の思いが込められた会社のキャラクターロゴ(mog提供)


 4歳だった長男に難病の遺伝子疾患も判明。食が細くて食べられない長男は、栄養が不足がちで、肌荒れなどにも悩まされていたそうです。健康食品アナリストとして活動していた自身のキャリアを生かし、サプリメントでの栄養補給を思案しました。


2017年に販売を始めた「こども栄養バランスmog」(mog提供)


 ビタミン12種類や亜鉛、マグネシウムなどを含んだ子ども向けのチュアブル錠「こども栄養バランスmog」を2017年に開発し、販売します。パイナップル味とチョコバナナ味の2種類で、同じ悩みを持つ親らに喜ばれましたが、「子どもが白米しか食べてくれない」という家庭もあり、すべての子どもに対応できない面があったそうです。


advertisement

バランス良く1食分の栄養

 「子どもからシニアまでみんなが大好きな食品で栄養補給できるものを作りたい」――。チュアブル錠が完成した一方、2019年頃からこんな思いも抱くようになりました。

 そこで着目したのが「ふりかけ」です。大正初期に誕生したとされるふりかけ「御飯(ごはん)の友」。当時、不足しがちなカルシウムなどの栄養分を補えるよう、小魚を骨ごと細かくしてご飯にかける方法を編み出した商品です。


「フタバ」と共同開発したふりかけ


 御飯の友が開発された思いに共感を持っているという小浦さん。その製造、販売を引き継いでいる熊本市の食品会社「フタバ」に共同開発の話を持ちかけ、「mogふりかけ」の完成に至りました。


栄養素を補給できる商品として開発した「mogふりかけ」(mog提供)


 子どもの口に合うように試作を重ね、ビタミンやミネラルの酸味を感じにくい「すきやき味」にたどり着きました。個包装一つ(2.5グラム)で、3~5歳児の1食分の栄養素が摂取できるそうです。


 商品化に向けてクラウドファンディングを行うと、目標金額を上回る167万円が寄せられ、今年7月に販売を開始しました。子どもの食事に悩む保護者のほかにも、食が細くなったシニア世代からの問い合わせがあるといいます。


「mogふりかけ」をかけたご飯

家庭の「食べる」を応援!

 「『子どもたちが食べやすい栄養サポートを作りたい』という思いが形になった」と小浦さん。「これからも、子どもたちと家庭の『食べる』を全力で応援していきたい」と意気込んでいます。


mogふりかけのPR画像(mog提供)


 mogふりかけの販売では、注文受け付けサイトの制作や商品発送を北九州市の障害者就労支援事業所が担当。子育て中の家庭と、障害をもちながら就労を目指す人の双方にとって価値ある事業に育てることを目指しています。


advertisement

この記事をシェアする