地域色あふれる「お土産スイーツ」 笑顔と会話も広がる甘さ

地域の文化や歴史にちなんだ個性的なお菓子

記事 INDEX

  • 見た目は握りずし
  • カッパのマカロン
  • 味わう炭鉱の歴史
  • 手で描く博多文化

 地域の文化や歴史にちなんだユニークなお菓子が各地にある。親しい人へのお土産として手渡せば、楽しい会話が広がりそうだ。

見た目は握りずし

 マグロ、エビ、たまご――。見た目は握りずしそのものだが、実は、シャリをマシュマロ、ネタをホワイトチョコで表現した北九州土産のお菓子「鮨(すし)まろ」(1404円)。紙箱入りで割り箸も付き、魚形のしょうゆ容器にはチョコソースが入っている。


鮨まろを手に「食べた人が笑顔になってくれたらうれしい」と話す吉武さん


 鉄鋼の街をPRする「ネジチョコ」など北九州エリアの土産品を数多く手がけてきた企業「オーエーセンター」が、地元の西南女学院大生や広告会社と協力して開発し、2020年に発売した。社長の吉武太志さんによると主なターゲットはインバウンド客で、海外での「すし」人気に着目。江戸前ならぬ「小倉前」という言葉があるほどすしが愛される地域であることから、「小倉がすしの町であるともっと多くの人に知ってもらいたい」との思いを込めたという。


 観光客だけでなく、身近な人への贈り物としても喜ばれるそうだ。吉武さんは「お土産には、会話を生み、人と人をつなぐ力がある。大切な誰かにぜひ、プレゼントしてみて」と勧める。


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カッパのマカロン

 「カッパ伝説」が息づく福岡県久留米市田主丸町には、カッパをモチーフにしたマカロン(3個、650円)がある。同町でフレンチレストランを営む井上勝紀さんが発案し、うきは市産の茶葉を使って緑に色づけした。


カパテリアのカッパのマカロン

 カッパに模した駅舎で有名なJR田主丸駅構内のカフェ「カパテリア」でのみ販売し、駅に停車する観光列車の乗客にも大人気という。カフェを運営する「久留米DMO」代表の矢動丸純子さんは「カッパにはおどろおどろしいイメージもあるけれど、マカロンはとてもかわいいですよ」とほほえむ。

味わう炭鉱の歴史

 かつて炭鉱で栄えた筑豊地区では、石炭をイメージした黒色の焼き菓子が「クロセレクション」のブランド名で販売されている。クロッカンを黒くした「黒ッカン」や黒いフィナンシェ「クロナンシェ」など6種類あり、いずれも1個220円。同県嘉麻市の老舗「山田饅頭(まんじゅう)本舗」は、ごま風味の生地に真っ黒なココアパウダーをまぶしたクッキー「和三盆くろころ」を製造しており、同店の財津仁志さんは「炭鉱で働く人々は、甘い菓子をエネルギー源にしていた。歴史を感じながら味わってほしい」と力を込める。


石炭をイメージした「クロセレクション」。右端は「和三盆くろころ」

手で描く博多文化

 明太子やにわか面、博多織といった福岡の特産品をかたどった一口サイズのクッキーもある。商品名は「プティジョリーHAKATA」(70グラム、2840円=9月に値上げ)で、18年には県などがデザイン性に優れた商品を表彰する「福岡デザインアワード」で金賞に選ばれた。


にわか面や明太子などを描いたクッキー

 クッキーを製造する福岡市中央区の「桜坂AZUL」代表・武陽子さんが、「福岡独自の文化を感じてほしい」と発案した。カラフルなアイシングで一つ一つ手描きしている。これまでは主にオンラインショップなどで販売していたが、同区の「アトリエ桜坂AZUL福岡」(9月8日に開店予定)でも取り扱う。武さんは「地域の魅力をお菓子に詰め込みました」と話す。


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