子どもの頃から金融教育 お金の使い方や経済の正しい知識を

日銀のイベントで、お金の役割や大切さを教える講師

記事 INDEX

  • 職業体験でもらえる専用通貨
  • ゲームで楽しく学べる催しも
  • 現金での買い物経験は不可欠

 将来への備えや詐欺被害防止などのため、子どものうちから経済やお金の使い方について正しい知識を持たせたいと願う親が増えている。学校以外でも学べる機会が広がり、楽しく身につく仕組みも登場している。

職業体験でもらえる専用通貨

 昨年7月にオープンした福岡市博多区の職業体験施設「キッザニア福岡」では、子どもが仕事を体験すると、施設内の専用通貨「キッゾ」で給料をもらえる。


子どもたちが給料としてもらえる「キッゾ」

 対象は3~15歳で、空港やテレビ局のスタッフなど約70種類の仕事があり、1回の“勤務”で5~8キッゾが得られる。キッゾは、施設内を走るバスの乗車料や買い物に使えて、専用の銀行に口座を開設して預金することも可能だ。

 7月に来所した熊本県宇土市の保育園児は、宅配便の仕事を体験し、もらったキッゾを銀行に預けた。「初めてお給料がもらえてうれしい。たくさんためたい」と喜び、父親は「将来、運用などを教えるのもスムーズになりそう」と見守った。


銀行に「キッゾ」を預ける子どもたち


 運営会社は8月の入場者数を昨年の約2.2倍と見込んでおり、担当者は「証券会社の協力を得て『投資先をリサーチする仕事』の体験も導入を検討したい」と説明する。


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ゲームで楽しく学べる催しも

 小中高校で金融教育が行われるようになり、親の関心も高まっている。auじぶん銀行(東京)が昨年、小学生の親500人に調査したところ、約7割が家庭で金融教育をしたいと回答。一方、「行ったことがない」も約8割に上った。

 金融機関などでは、ゲームで楽しく金融を学べるイベントや教室を開いている。


電子マネーの使い方や貿易について学ぶ「世界一周すごろくカレーゲーム」

 福岡市・天神の日本銀行福岡支店では8月、小学5、6年を対象にした「にちぎんサマースクール」を開いた。子どもたちは、県金融広報委員会が作成した「世界一周すごろくカレーゲーム」に挑戦。模擬の電子マネーを使ってカレーの具材を購入するゲームで、「貿易摩擦」「国交正常化」などでポイントが増減するルールもあり、お金の使い方と貿易の仕組みが学べる。参加した福岡市の小学5年の児童は「予算の中で具材を集めるのは難しかった」と話した。

 野村証券も県内の各支店で随時イベントを行っている。北九州支店で8月8日に行われたのは為替について学べるゲーム。小学1~6年生11人が“社長”になり、海外からバッグや食べ物を輸入するルールを通じて“取引”を体験した。


金融の基礎を教える園田さん


 昨年スタートした「F学キッズ」(本社・福岡市)は、小学生に「金融」「経済」「キャリア」が学べる教室を県内外で約40か所展開する。運営会社社長の園田裕樹さんは元証券マンで、同社は株式の基礎を教える無料イベントも開いており、「子どもたちが将来のキャリアを考えるきっかけを提供したい」とする。


現金での買い物経験は不可欠

 県金融広報委員会(金融広報アドバイザー)の薄(すすき)千里さんに、家庭での金融教育のコツを聞いた。

 お金を大切にする価値観は、急には身につきません。日頃から保護者が仕事の話をして、労働の対価として受け取れるのがお金と伝えましょう。子どもはお金を得ることの大変さやありがたさを理解します。ゲームへの高額課金や子ども同士でのお金の貸し借りといったトラブルの回避にもつながります。


学年に合わせたお金についての知識が学べる「おかねのね」

 現金での買い物を経験させましょう。買いたい物の金額に合わせてお金を数え、残高を確かめるなど、金額の大小を実感しやすいです。小学生の小遣いは親も管理に関わり、購入したい物の優先順位を一緒に考えることが大切です。

 金融広報中央委員会のサイトに、親子でお金について学べる「おかねのね」を掲載しています。家庭での教育に役立ててください。

 気になる情報やテーマをメールでお寄せください。


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