アートやインテリアが変身! 暮らしの中に「防災グッズ」を
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記事 INDEX
- 部屋を彩る作品が…
- すぐ持ち出せて安心
- 大切な人への贈り物
元日に発生した能登半島地震を受け、災害への備えに関心が高まっている。デザインにこだわった防災グッズはインテリアとしても活躍し、非常時に取り出しやすいと人気。大切な人へのプレゼントにも喜ばれそうだ。
部屋を彩る作品が…
一見すると、部屋を彩るアート作品。作品を額縁から外すと、中に30回分の災害時トイレキットが入っている。「sonae 備絵(そなえ)」と名付けられた商品で、アートは絵画や写真など約20種類をそろえる。3万3000円から。
販売するのは福岡市の広告プロモーション会社「ドリームホールディングス」で、被災経験のある社員2人も開発に携わった。福岡県朝倉市出身の石井琴子さんは、2017年の九州北部豪雨の際、当時住んでいた実家の1階に土砂が流れ込み、家にいた妹と祖父母が2階に取り残されたという。「救助されるまで一晩トイレを我慢したのがつらかったと聞き、トイレの備えの大切さを痛感した」と話す。
もう1人は熊本県益城町出身の藤村彩央里さんで、16年の熊本地震の際に汚れた公衆トイレに苦労した経験があり、「備絵が日常に彩りを与え、安心感にもつながればうれしい」と力を込める。
すぐ持ち出せて安心
安全衛生用品販売会社「ミドリ安全」(東京)が23年、20~49歳の母親を対象にした調査では、緊急時にすぐ持ち出せる防災バッグを「用意していない」とする家庭が57.8%にのぼった。担当者は「防災グッズは日用品として取り入れるのもおすすめです」と呼びかける。
福岡市南区の包装資材会社「清和」は23年、日常になじむ防災グッズ商品ブランド「bistock(ビストック)」を立ち上げた。本のような形で本棚にも置ける「枕元に備える防災ライト」(1100円)は箱の中に故障や電池切れの心配がないケミカルライト3本と家族の連絡先などを記入するカードが入り、ラベルは蓄光素材で暗闇で光る。
防災グッズを収納できる「丈夫な紙製ストレージボックス」(2個で1540円)ははっ水加工を施し、室内にそのまま置けるデザイン。同社企画部の五島珠美さんは「押し入れの奥にしまいこみ、非常時に活用できなければ意味がない。身近に置けてすぐ出せることが大事」と語る。
「そばにある安心感」をテーマに安価でかわいい防災グッズ「SOBANI」を販売するのは全国展開する雑貨店「3COINS+plus」。福岡市のミーナ天神店では約20種類をそろえ、人気はラジオ付きの「多機能ランタン」(1100円)や、方位磁石や笛などが付く「多機能ミサンガ」(330円)。ゆめタウン久留米店(福岡県久留米市)やアミュプラザ小倉店(北九州市)などでも販売している。
大切な人への贈り物
「防災ギフト」も広がっている。防災グッズのカタログ「LIFEGIFT」(1万4300円)は防災ベンチャー「KOKUA」(東京)が販売。カタログには「あなたの無事が いちばん大事。」のメッセージが添えられ、おしゃれな消火器やヘルメットなど15商品の中から選べる。
IT大手「LINEヤフー」(東京)は特設サイト「#おくる防災」を設け、贈り物におすすめの防災グッズを紹介している。売り上げは年々増加しており、担当者は「自分のためだと備蓄を先延ばしにしがち。大切な人に贈ることで、互いの防災意識を高めてほしい」と期待する。
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