コンパクト!おしゃれ!自分で作る! 今どきの「節句飾り」
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記事 INDEX
- 小さな世界に技術を凝縮
- 住宅事情に合わせて変化
- 自分用に購入する大人も
子どもの健やかな成長を願って飾るひな人形や五月人形。伝統的な節句飾りも、少子化や住宅事情の変化に合わせて多彩になっている。いろいろな節句飾りが福岡県内にもある。
小さな世界に技術を凝縮
宗像市のガラス工房「粋工房」では、地元オリジナルの色ガラスでひな人形やかぶとを制作している。
世界文化遺産の沖ノ島周辺の海水で作った塩を加えて生み出した赤色「沖ノ島朱(あか)」、離島・大島の海岸の砂を使った緑色「大島翡翠(ひすい)」、鐘崎地域などの養殖アワビの貝殻を調合した青色「金の岬天色(みさきあお)」の3色。市商工会が「宗像を代表する新たな工芸品を」と呼びかけたのに応じ、同工房が7年かけて完成させた。
ガラス製のひな人形やかぶとには接着剤を使わず、扇などの細かな装飾も約1250度の炉で溶かしたガラスの形を素早く整える高度な技術で表現。工房の伊藤幹生さんは「小さな世界に技を凝縮し、子どもの幸せを願う気持ちを届けたい」と話す。
住宅事情に合わせて変化
総務省の経済センサス活動調査によると、2012年調査で133億円だった「節句人形・ひな人形」の出荷額は、21年調査では81億7200万円。床の間がない家やマンションが増え、飾る場所が限られることも背景にあるようだ。
時代の変化に対応しようと、八女市の老舗人形店「八女人形会館」は、テレビ台の上にも置ける奥行き約20センチの薄型ひな壇、パステルカラーのかぶとなどをそろえる。かつては祖父母が孫に購入していたが、今は20~40歳代の母親が選ぶケースが多く、インテリアとの調和を重視する声が増えたためという。
娘のひな人形を探しに来店した福岡市の会社員は「マンション住まいなので圧迫感がなく、華やかな人形を選びたい」と話した。同会館の運営会社専務の山下裕市さんは「節句飾りが多様になっても、家族の絆をつなぐという役割には変わりはない」と力を込める。
自分用に購入する大人も
盆ちょうちん用のひもなどを製造する久留米市の「池尻紐(ひも)房工場」では、4代目の池尻義徳さんが自社のひもを淡路結びにしたひな人形(8800円)を考案。当初は高さ15センチほどだったが、6センチほどに小さくすると注文が急増した。今シーズンは白地に銀や桜色などを組み合わせた限定カラーもあり、池尻さんは「子どもの節句祝いだけでなく、自分用に購入する大人も多い」と語る。
福津市の工房「テノ森」は、組み木のひな人形や五月人形などを自分で制作するコースを設ける。組み木作家・小黒三郎さんがデザインした型を使用し、指導を受けながら電動糸のこで木材を切り出し、磨いて着色する。1日コースは4500円からで、5日ほどかけて制作する七段飾りは2万円(材料費別)。参加した宗像市の女性は「自分で作るので愛着が沸き、組み合わせて遊べるのもうれしい」と話した。
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