自分の可能性を広げよう!大人の学び直し「リカレント教育」

記事 INDEX

  • 食を探求する3コース
  • 観光で地域を元気に!
  • 製造現場や女性向けも

 大人になってから学び直す「リカレント教育」が広がっている。人生100年時代を迎え、キャリアの描き方もより自由で多様になった。福岡県内でも大学などが特色あるプログラムをそろえており、可能性を広げる後押しをしてくれる。

リカレント
 英語で「循環」を意味する。働き方の多様化などを背景に学び直しのニーズが高まり、様々な分野で開講されている。福岡県が運営するウェブサイト「ふくおか生涯学習ひろば」でも、県内で実施されているリカレント教育のプログラムを探すことができる。

食を探求する3コース

 「食の中村」として知られる福岡市の中村学園大では、食のトレンドや最新の研究などを学べるプログラムを3コース設ける。基礎知識を学ぶ「ベーシック」(10万円、10科目)、調理実習もある「アドバンス」(13万円、同)、学びをより深める「プロフェッショナル」(10万円、6科目)で、学歴は問わず、飲食業関係者だけでなく、主婦や異業種の受講者もいる。


中村学園大で学び直しをした栗田さん。「これからの夢が具体的になった」


 春日市の野菜ソムリエプロ栗田寛美さん(50)は2022、23年度に3コースを受講した。日中は放射線技師として医療機関で働き、休日に公民館での「コミュニティ食堂」の運営や小中学生向けの食育講座に携わる。コロナ禍で活動が制限された時期に、今後のキャリアを見据えて知識をつけたいと同大での学び直しを決めた。講義の大半はオンラインで、早朝や夜間などに動画を視聴したという。

 植物由来の食品やイスラム教の戒律に沿った「ハラール」などを幅広く学習。調理実習では酒と肉料理などとの相性を確認した。組織運営についても学び、コミュニティ食堂の使命を改めて考えるきっかけになったという。栗田さんは「受講で視野が広がり、夢が具体的に描けるようになった」と手応えを語る。


中村学園大で学べる講座内容について説明する同大の担当者


 ベーシックとアドバンスの2コースは受講者を随時募集。10月開講のプロフェッショナルコースは7月中旬に募集を始める。


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観光で地域を元気に!

 九州産業大(福岡市)は、観光を地域活性化につなげる人材の育成を目指すプログラムを設ける。アジア各国からの観光客の増加を見越し、客層を分析してデータを活用する方法や、企画提案の手法などについて、同大の教員や国内外の実務者らが指導。1泊2日の現地学習もあり、今年度は長崎県平戸市で観光関連の課題解決を話し合う。


2023年度の現地学習で八女市を訪問した受講生ら(九州産業大提供)

 受講料は10万円(別途宿泊費などが必要)で、定員60人。千相哲副学長(観光学)は「農林水産業やサービス業など地域の産業との接点を探りながら、地域全体を活性化していく方法について学びを深める」と説明する。

製造現場や女性向けも


北九州高専の講座では様々な種類の加工機器についても紹介する

 北九州市の北九州高専は、人材不足や技術の継承といった課題を抱える製造業などの経営者らに向けたプログラムを提供している。デジタル技術を活用して業務の効率化を図る「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の導入などについて学べる内容で、担当する久池井茂教授(機械工学)は「日本のものづくり技術にDXをうまく取り入れられれば、世界と戦える。中小企業の可能性を広げたい」と力を込める。2018年度から実施しており、今年度も夏以降の開講を予定している。

 福岡女子大(福岡市)では、出産や介護でキャリアを中断した女性や起業を目指す女性向けのプログラムを実施している。企画の立案方法やキャリアビジョンの描き方などについて学べ、復職支援プログラム(8000円の予定、全11回)、リーダー育成研修(8万2000円、宿泊研修含め2回)など。学内の託児室で一時保育も行う。


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