三毛猫の毛色の謎に挑む 九大名誉教授が遺伝子研究

 九州大を3月に定年退職して名誉教授となった遺伝学者の佐々木裕之氏が、三毛猫の毛の色を決める遺伝子の謎を解明する研究費調達のため、クラウドファンディング(CF)を始めた。解明が成功すれば、猫や人間の皮膚疾患などの治療法確立につながる可能性があるといい、幅広く協力を呼びかけている。

費用調達へクラウドファンディング

 佐々木氏によると、猫の毛の色を決める情報は親から譲り受けたX染色体の中に入っていることは知られており、雌に2本あるX染色体のそれぞれに別の毛色の情報があるなどの偶然が重なった場合にのみ、3色が混在する「三毛」となる。

 ただ、X染色体のどこに、どのような状態で毛色の情報が入っているのかは解明されていないため、詳細に分かれば、猫や人間の皮膚や毛に異常を起こす病気の原因や、その治療法の解明につながりうるという。


三毛猫の遺伝子に関する謎の解明を目指す佐々木名誉教授(本人提供)


 佐々木氏は約30年にわたり、不妊や先天異常を克服する基礎研究として、精子や卵子の働きなどを研究。定年退職を機に、長年気になっていたという三毛猫研究に取り組み、遺伝研究の集大成とすることを決意した。

 今後、研究に着手するにはスタッフの雇用や試薬の購入、論文の掲載などに資金が必要。大学や国に研究予算を求めることはできるが、「若い研究者の活躍を阻害してはいけない」とCFを活用することにした。

 1月末までに寄付総額が目標の500万円に達すると研究が始まり、未達成だと全額返金される方式で、12月12日に募集を開始。寄付者は金額に応じて研究成果の報告会に参加できたり、結果をまとめた冊子に名前を掲載されたりする。

 12月27日現在、目標額の85%にあたる429万円が集まった。寄付者からは「ウチの子も三毛なので興味深い」「未来の猫のためにも頑張って」などのメッセージも寄せられている。佐々木氏は「研究や成果発表を通じて、多くの人が科学の面白さを感じてくれればうれしい」と話している。

 CFは専用サイト「REDYFOR」で受け付けている。問い合わせは九州大生体防御医学研究所(092-642-6759)へ。


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