福岡県篠栗町で5月、絶滅の恐れがある2種類のカエルの生息が相次いで確認された。見つけたのは、福岡第一高校と第一薬科大付属高校(福岡市南区)の水中生物研究会。5月6日夜、同校理科教諭で研究会顧問の太田喜視さん(57)が篠栗町内で、雨の夜に活動が活発になる両生類を探していたところ、山間部と住宅地の境にある草地で体長約8センチのトノサマガエルを発見した。
トノサマガエルとニホンアカガエル
トノサマガエルは農地の近代化や水田の減少で数が減り、県のレッドデータブックで絶滅危惧1B類、環境省で準絶滅危惧のカテゴリーに分類されている。
13日には、太田さんと研究会の生徒4人で発見場所付近を捜索。数百メートル離れた水田で、研究会副塾長の2年三角桃葉さん(16)が、絶滅危惧2類のニホンアカガエルを見つけた。体長約1.5センチで、捕まえて研究会で飼育している。
太田さんは、二つの発見を県に報告。水生生物の生態が専門の中島淳・県保健環境研究所専門研究員がトノサマガエル、ニホンアカガエルと確認した。県のデータでは、篠栗町でトノサマガエルが確認された初の事例となった。
研究会は2020年9月にも、篠栗町の山中で準絶滅危惧のヘビ、シロマダラを発見している。太田さんは「昔はどこにでもいたトノサマガエルでさえ絶滅しそうなほど、自然環境は追い込まれている。SNSなどを通じて、生き物が置かれた状況を伝えていきたい」という。