カブトムシを大量養殖して幼虫やサナギの乾燥粉末を家畜飼料などに活用する実証実験が9月19日、福岡県嘉麻市の旧千手小校舎で始まった。来年夏までに500匹を育て、2年後には5万匹に増やす計画。新たな産業として、人口減に悩む中山間地域のモデルケースを目指す。
幼虫・サナギを家畜飼料に
実験を行うのは九州大大学院農学研究院の紙谷聡志准教授らの研究グループ。カブトムシが竹のチップやキノコ農家で捨てられる廃菌床を餌に育つことや、飼育に手間と光熱費がかからない点に着目。コストを抑えて大量養殖することで、価格が高騰しがちな輸入魚粉に代わる家畜飼料や、世界人口の増加で注目される「昆虫食」の対象とすることを発案した。嘉麻市は廃校校舎や餌となる竹チップを提供するなど全面的に協力する。
初日は同大や市の関係者、飼育スタッフとして雇用された地元住民3人が、幼虫や飼育用具を校舎内に運び込んだ。紙谷准教授は「餌の与え方などを試行錯誤しながら、カブトムシをできるだけ多く、元気に育てられるノウハウを確立させたい」と意気込みを語った。