被災建物の危険度を自動判定 福岡県が専用アプリを開発

 福岡県は、地震で被災した建物の危険度を判定する独自のアプリを開発した。これまでは災害現場に紙の調査表を持参し、手書きしていたが、アプリでは調査項目を入力すると自動で判定結果が出る。判定作業のスピードアップを図る狙いで、県は「いち早く建物の危険性を知らせ、被害を防止したい」としている。

地震被害に迅速対応

 地震発生後、市町村は建物の被害状態を調べて「危険」(赤)、「要注意」(黄)、「調査済」(緑)のいずれかに分類し、出入り口に貼り紙をして注意喚起する。能登半島地震で被災した石川県でも始まり、1月16日時点で2万1710件の危険度判定を実施。うち、35.8%が「危険」とされた。

 判定は、建築士やその資格を持つ行政職員などの「判定士」が行う。紙を使った作業では、地図上で建物の棟数を数えたり、判定士が記入した調査表を本部に持ち帰ったりする必要があり、1チーム(2人)が1日に判定する建物は15棟程度だったという。


アプリ上のマップ。判定済みの建物には○印が表示される(県提供)


 県が開発したアプリでは、アプリ内のマップで調査区域を簡単に設定できるほか、▽建物が傾いていないか▽壁や基礎に被害があるか▽瓦や窓ガラスに破損や落下の危険はないか――などの調査項目を入力するとすぐに判定結果が表示される。

 この結果は本部にもリアルタイムで共有されるため、調査表を持ち帰る必要もない。県はアプリの導入で、1日の判定をこれまでの2倍の30棟程度まで増やしたいとしている。

 県は、市町村職員を対象にした説明会を開き、アプリの普及を目指す。県建築指導課は「デジタル化を進めることで、余震による倒壊の危険などをいち早く所有者や住民に知らせたい」としている。


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