ITテックで地域貢献! 福岡県新型コロナ感染症サイトの運営チームに聞く

新型コロナウイルス感染症ポータルサイトを運営しているコアメンバー

記事 INDEX

  • 「Code for ○○」とは何者?
  • フェイクにつけ込まれないために
  • 今こそ「シビックテック」を

 福岡県内の新型コロナウイルス感染者数などのデータを見やすくまとめた「新型コロナウイルス感染症ポータルサイト」が注目を集めています。このサイトのキーワードは「公共性」と「分かりやすさ」。サイトを運営するボランティア団体「Code for Fukuoka」と「Code for Kurume」のメンバーに聞きました。

関連記事:ITボランティアが新型コロナのサイト開設 福岡県のオープンデータを活用


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「Code for ○○」とは何者?

 福岡県のサイトのモデルになっているのが、東京都が3月3日に公開した「新型コロナウイルス感染症対策サイト」。都内の陽性患者数や検査実施数、相談件数などのほか、都営地下鉄の利用者数がグラフ化され、相談手続きのチャート図もあります。ITエンジニアらでつくる一般社団法人「Code for Japan」が東京都の依頼を受けて開発したもので、分かりやすさが最大の特徴です。東京都はサイトのソースコードを一般公開し、誰でも使えるようにしました。


東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」より

 Code for Japanは、テクノロジーを活用して住民自身が地域課題を解決する「シビックテック」を推進する民間団体で、自治体との協働にも積極的に取り組んでいます。Code for FukuokaとCode for Kurumeは、Code for Japanの「Brigade(ブリゲード=消防団)」と呼ばれる地域組織で、Code for Japanは全国にある約80のブリゲードと連携しています。

 東京都の対策サイト開設を受け、Code for FukuokaとCode for Kurumeは福岡県版のサイトをつくれないか検討。福岡県と話し合い、県は陽性患者数や検査実施数などをオープンデータにして公表することを決め、サイトが実現しました。


福岡県の「オープンデータサイト」より

オープンデータは、国や地方自治体が公開している公共データで、コンピューターが読み込め、二次利用が可能な形式で提供される情報。行政の透明性や生活の利便性の向上、ビジネスの創出などにつながるとして、2016年に施行された「官民データ活用推進基本法」で公開に取り組むことが義務づけられた。

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公共データを分かりやすく発信

――どのように運営しているのですか。

 福岡県新型コロナウイルス感染症ポータルサイトは、少人数のボランティアによって運営しています。東京都のサイトはオープンソースなので、誰でも自由に利用できます。神奈川県や千葉県などでもサイトが開設されました。ただ、私たちが普段使わないプログラミング言語も使われていて少し苦戦しました。東京都のサイトをプログラミングしたITエンジニアたちの技術レベルに感心させられました。ただ、苦労したかいもあって、アクセスが集中してもサイトは安定して動いています。

――1日あたりどれくらいのアクセスがありますか。

 3月31日に公開してから日に日にアクセスが増えています。4月3日現在で、1日あたり5万ページビューくらいですね。


Code for Fukuokaの德永美紗代表(右)とCode for Kurumeの斉藤裕典代表

――課題にも直面しているそうですね。

 情報更新のスピードが課題です。福岡県が感染者数などのオープンデータを公開したら、自動的に情報を更新する仕組みになっていますが、逆に言うと、福岡県がオープンデータを公開しない限り、サイト側のデータも更新されません。サイトの意見箱には、情報更新の遅さに対する指摘があります。私たちに届いている県民のニーズは、県庁の担当者とも共有していきたいです。

――分かりやすいので私も重宝しています。

 情報はアリバイ的に「公表すればいい」というものではありません。必要としている人に届き、正しく理解されることで、初めて生きた情報になります。新型コロナウイルスの公共データも、県民に誤って受け取られてしまったら、不安をあおることにつながりかねません。


「福岡県新型コロナウイルス感染症ポータルサイト」より


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フェイクにつけ込まれないために

――ネット上では不確かな情報も拡散されています。

 そうですね。例えば、テレビでニュース速報が流れたとします。多くの人が次にとる行動は、手元のスマートフォンでより詳しいニュースを探すことです。求める情報が見つからなかったらどうするでしょう? 自分が欲しい情報をインターネットで次から次へと検索しますよね。そうすると、不確かな情報にも飛びつきやすくなります。

――人々の「不安」にフェイクニュースはつけ込みます。

 新型コロナウイルスに関しては、陽性患者数や感染者の属性など、行政でなければ公開できないデータが多いです。県民の不安を解消するには、行政が迅速に分かりやすい情報発信を心がける必要があります。

 新型コロナウイルスの影響が広がるにつれ、福岡県内の状況を知りたいというニーズも増しています。福岡県の公式サイトでも、直近の感染者数は確認できます。しかし、数字を並べただけでは、どうしても分かりにくい。感染が拡大すれば、更新される数字は日々大きくなり、積み上がっていきます。情報が意図しない受け取られ方をすると、不確かな情報が独り歩きしやすい環境が生まれます。不安をあおらないためにも、信頼される情報を早く、分かりやすく提供したいです。


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今こそシビックテックを


――サイトはアップデートされますか。

 東京都のサイトにもあるように、感染を疑う人が相談するまでの行動チャート図を導入したいです。福岡市地下鉄の利用者数の推移も導入できないか、検討しています。

――少人数で運営していますね。

 そうですね。福岡県内のエンジニア、デザイナーの皆さんに、シビックテックへの関心を持ってほしいです。一人ひとりができることを少しずつでかまいません。自分のできることを、できる範囲で社会に還元しませんか。そうすることで、県民の不安を少しでも和らげることができます。


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