福岡県筑後市鶴田の社会福祉法人「筑後わかたけ福祉会」が運営する作業所で、知的ハンデを持った利用者たちが、豊かな個性を生かした絵などアート作品制作に取り組んでいる。11月19~29日には、柳川市民文化会館で、同市の社会福祉法人「たからばこ」と合同で作品展を開く。両施設の担当者は「ユニークな作品の中に、彼らの才能と可能性を感じてほしい」と期待している。
筑後わかたけ福祉会 11月19~29日に
同福祉会では、20年前ほどに作業所利用者の生活の充実と、自立の一助になればとアート制作の活動を始めた。2006年から施設内で発表会を開いてきたが、16年に活動を知った九州芸文館から誘いがあり、同館で作品展示会を開いた。
来場者からは「自分たちが考えつかないような表現」「色遣いが豊かで見入ってしまう」「説明文を読んで、こんな思いを込めているのかと感心した」といった感想が寄せられた。涙を流しながら職員に話す来場者もいたという。
現在、作業所では20歳代~50歳代の男女十数人がアート制作に取り組む。絵の具だけでなく、クレヨンやマーカー、色鉛筆を使って心に浮かぶことなどを描く。薄めた絵の具に浸したスポンジでキャンバスに色を付けたり、絵の具に砂を混ぜたりして、立体感を表現し、触っても楽しめる作品づくりに取り組んでいる。
作業所からは、障害者が制作したアート作品のレプリカを有料で貸し出し、料金の一部を制作者に還元する県の事業に6点が選定されている。
「作品通じ、理解深めて」
選定された作品を描いた堤さとみさんは「絵を描くのが好き」とうなずき、クレヨンでキャンバスいっぱいに人や草花、動物などを描くのが得意な下川光雄さんは「作品が褒められるとうれしい」と話す。同福祉会の小宮雅之施設長は「ここではお金を得るだけではなく、絵や音楽、運動などで満足度が高い時間を過ごせるようにしている。作品を通じて、こうした活動への理解を深めてほしい」と願っている。
「たからばこ」との合同展示会「くすのもりアート展」は3回目。ギャラリースペースにアート作品約100点を展示。11月29日午前10時~午後4時は、両施設で作っている焼き菓子やオリジナルの小物などの販売もある。入場無料。同月25日が休館。







