白秋の人間味がにじむイラスト 柳川市の生家・記念館で特別展

会場に展示された白秋のイラスト

 福岡県柳川市出身の詩人・北原白秋(1885~1942年)が詩集の表紙や挿絵として描いたイラストなど約210点を集めた特別展「イラストレーター・白秋の魅力」が、同市沖端町の北原白秋生家・記念館で開かれている。関係者は「白秋の絵は優しく温かみがあり、作品の世界をより深みのあるものにしている。新たな魅力を感じてほしい」と期待している。

生誕140年で企画

 同記念館などによると、白秋は幼い頃から文学に親しみ、19歳で上京。22歳で文学仲間4人と九州各地を訪れ、旅行記「五足の靴」を新聞で発表した。その2年後、初めての詩集「邪宗門」を出版した。絵を描くことが好きで、28歳の頃には「フランスに行って2、3年、絵の勉強をする」と友人に話したこともある。特定の画家に師事することはなかったという。

 特別展は、白秋の生誕140年を記念して初めて企画された。26歳で刊行した詩集「思ひ出」から、42歳で携わった芸術雑誌「近代風景」までの18冊で使われたイラストを紹介している。


詩集「思ひ出」に使用されている「Pierrotの思ひ出」

 「思ひ出」では、赤い髪と唇が印象的なピエロの顔のアップを描いた。フランス印象派のような詩風を取り入れ、新感覚の歌集と評価された「桐(きり)の花」に掲載された庭にテーブルと椅子を置いた図柄の表紙、赤い光を放つホタルの絵など36点もある。

優しく温かな筆

 歌集「雀(すずめ)の卵」からは、かわいらしい牛に雪が降りかかる「白牛」、たくさんの赤いカニが入った臼ときねを描いた「蟹味噌」など22点を選んだ。


歌集「雀の卵」に出てくる「白牛」

 白秋は酒を飲むと、そばにいる人の似顔絵を即興で描いて楽しんだという。会場には似顔絵コーナーが設けられ、兄弟や親しい歌人を温かいまなざしで描いた作品も並ぶ。高田杏子館長は「シンプルなのに、特徴をうまく表現している。ほのぼのとしたユーモラスなタッチに、『人間白秋』の温かさがにじみ出ている」と説明する。

 詩、短歌、童謡、俳句、歌謡、小唄、エッセー、批評など、白秋は多くの分野で活躍した。高田館長は「いろんなジャンルの文人と交流し、刺激を受けながら感性を磨き、人間性を高めていったのだろう」と語った。

 特別展は26年1月31日まで。年末年始は休館。入館料は一般600円、高校・大学生450円、小・中学生250円。問い合わせは同記念館(0944-72-6773)へ。


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