街の働き者は環境汚染のバロメーター 北九州で続く「小倉みつばちプロジェクト」
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国内各地で盛んになっている都市養蜂。北九州市でも小倉駅前の商業ビル・セントシティの屋上で「小倉みつばちプロジェクト」のメンバーが取り組み、市街地や勝山公園などから蜜を集めて巣箱に戻るミツバチの世話をしています。
小倉駅前のビル屋上で
プロジェクトが始まったのは2011年。北九州市が国から環境未来都市に選定されたのを機に、環境問題に向き合うまちづくりを進めようとスタートしました。今年で11年目となり、これだけ息の長い活動を続けている団体は全国でも少ないそうです。
毎年3月から9月の水曜と土曜に、メンバーが巣箱の世話をしています。訪ねた日の担当は小松良明さん、森数学さん、Ricoさんの3人。みなさん、活動前に養蜂用の防護服に身を包みます。私も初めて防護服を着用しての取材となりました。
まずは、ミツバチをおとなしくさせるため、燻煙器に火をつけます。煙が巣箱に行き渡った頃、巣箱を一つずつ開けて中の様子をチェック。「ほら、ここに女王蜂がおるのがわかる?」。巣箱の示されたところをよく見ると、周りの働きバチより体の大きな女王蜂が動いています。
「いざ写真を!」と思うものの、視界が防護服の網で遮られ、女王蜂の姿をちゃんと画像に収められているのか、カメラのモニターでは確認できません。見当をつけてシャッターを切ろうとしても、分厚いゴム手袋で指先の感覚がつかめず手間取る羽目に。メンバーの作業を中断させてしまい、申し訳ない気持ちになりました。
防護服についたミツバチを互いにブラシではらい、1時間弱の活動は終了です。通気性の悪い防護服だと4月半ばでも汗ばむほどで、高温多湿となる梅雨から夏にかけては、かなり困難な作業になるであろうことを実感しました。
北九州SDGsクラブに参加
「活動を始めた頃に比べ、この4、5年で蜂蜜の収穫量が2~3割減ってきています」と森数さん。北九州だけでなく、各地で都市養蜂による蜂蜜の収穫量は減少傾向にあるとのことです。「農薬などが使われる環境では、ミツバチはいなくなってしまいます。ミツバチは環境汚染の指標でもあるんです」とRicoさんが教えてくれました。
小倉みつばちプロジェクトは、北九州市が産学官民でSDGs(持続可能な開発目標)の活動を推し進める「北九州SDGsクラブ」の会員でもあります。小松さんは「これからも世代交代をしながらプロジェクトを継続していきたいです」と話します。
小倉みつばちのレモネード
セントシティ2階にある「KOKURA STAND」では、ビル屋上で採れた蜂蜜を使ったレモネードを飲むことができます。この店の「ザクザクレモン・レモネード」と「ザクザクレモン・レモンソーダ」は、スタッフが手作りしたレモンシロップと、氷の代わりにざく切りにして凍らせたレモンを使用。最後まで味が薄くなりにくく、清涼感はもちろん、しっかりした蜂蜜とレモンの風味を楽しめます。
レモンをより強く感じたいときは、生搾りレモンを追加でトッピングできます。これまでも旬の時期は国産レモンを用いていましたが、今年11月に収穫される早採りのグリーンレモンからは北九州産の使用を予定しています。このほか、ミルクソフトクリームに蜂蜜をトッピングした「こくらはちみつソフトクリーム」も人気です。