記事 INDEX
- 九州の素材にこだわり
- 駅で本格クオリティー
- 蕎麦の文化を広めたい
JR博多駅の5・6番乗り場に「手打ち蕎麦(そば)さえ木」がオープンしました。「JR九州フードサービス」(福岡市)が、駅ホームで「九州の味」を発信する地元飲食店を募るプロジェクトの第2弾です。9月30日まで約3か月の期間限定で営業します。
九州の素材にこだわり
出店したのは、福岡市・中洲に店を構える「牛タンと蕎麦のさえ木」。コロナ禍による休業期間中に、全国の"蕎麦通"が通う老舗蕎麦店「赤間茶屋 あ三五」(福岡市中央区白金)の協力を得て、立ち食い形式で提供できるメニューを開発しました。
店では「二八蕎麦」と、全国的にも珍しい「更科10割蕎麦」を味わえます。熊本産の蕎麦粉、鹿児島産の鰹節など九州の食材にこだわっています。手打ちのため、一日に提供できるのは150~200食ほどで、閉店時刻前に売り切れる日もあるそうです。
駅で本格クオリティー
店に向かうには、JRの乗車券または入場券が必要です。入場券を150円で購入して改札を通り、5・6番線ホームへの階段を上ると店が見えてきます。
食券機には、1000円を超えるメニューがずらり。立ち食い蕎麦の相場は1杯400~500円ほどなので、2倍以上の価格設定です。
特に人気だという「二八 鴨汁」(1200円)を選びました。麺を出汁に半分だけ絡ませるのがおすすめの食べ方で、蕎麦の香りと鰹節が利いた出汁のコクを両方楽しむことができるそうです。
口に運ぶと、麺はつるりと滑らかで、もちもちの食感。かむほどにやさしい甘みが広がり、清涼感が鼻から抜けていきます。
低温調理で仕上げた鴨は、ずっしりと厚切りで軟らかく、一口食べると凝縮された肉のうま味があふれます。じっくり火が入ったネギに、さわやかな三つ葉と、薬味もしっかりと脇を固め、主役を引き立てていました。
構内のアナウンスや発車のベルが聞こえなければ、駅のホームにいることを忘れそうです。
蕎麦の文化を広めたい
立ち食いとは思えないクオリティーは、限られた場所でもこだわりを曲げない店長の三角朋也さんの思いから。「4.5坪の店舗で、手打ちの蕎麦を素早く提供する」という命題が創意工夫につながったといい、仕込みの段階で徹底的に仕上げることにより店舗でのスピーディーな提供を実現しました。
「とにかく手間をかけているので、食べてもらえれば価値がきっと伝わると思います」。三角さんの言葉に力が宿ります。
プロジェクト第1弾で出店した「淡麗らぁ麺 明鏡志水」も1000円近いメニューが並びましたが、期間の後半になるにつれて客が増えたとのこと。「今しか食べられない」というプレミアム感も手伝い、「60回通った」という猛者も現れたそうです。
そして今回の第2弾。JR九州フードサービスは「食材選び、調理、接客などすべてが丁寧。蕎麦通のみならず、新たなファンが広がるのでは」と期待を寄せます。
「蕎麦の文化を広めたい。それが地域貢献につながれば」と話す三角さん。多くの人が往来する喧騒(けんそう)の中、客に出す1杯、1杯にその思いを込めています。
店名 | 手打ち蕎麦 さえ木 |
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所在地 | JR博多駅5・6番乗り場 |
営業期間 | 7月9日(金)~9月30日(木) ※火曜定休 |
営業時間 | 8:00~19:00 (材料がなくなり次第終了) |