いつも一緒に 「大切な人」の写真を車内に置いて飲酒・危険運転にブレーキ

記事 INDEX

  • 白バイに貼られていた写真
  • 大川家具の廃材を加工
  • 「大切な人」が一番の抑止力

 悪質な運転が引き起こす悲しい交通事故の抑止につなげたいと、飲酒運転撲滅運動に取り組む大学教授らが車のダッシュボードに置く写真フレームを作りました。「どこでもフォトフレーム issho(イッショ)」――。大切な人の写真を入れて、危険な運転を思いとどまってほしいとの願いが込められています。

白バイに貼られていた写真

 「issho」は高さ7.4センチ、幅5.9センチ、厚さ3.7センチ。ウォールナット材で作られ、付属のマグネットプレートをダッシュボードに貼り付けて使用します。

 企画の中心になったのは、九州産業大学の芸術学部教授・伊藤敬生さん。広告会社に長年勤務し、飲酒運転ゼロを目指す「TEAM ZERO FUKUOKA」の活動にも携わってきました。


どこでもフォトフレーム issho(税込み3300円)

 伊藤さんは飲酒運転撲滅運動にかかわり始めた頃、原付きバイクを運転中についスピードを出してしまい、白バイの警察官に制止されました。注意を受けながら、その白バイにふと目をやると、赤ちゃんの写真が貼られているのに気づいたのです。

 「危険な瞬間と隣り合わせの白バイ隊員も、家族の写真を見て気持ちを落ち着かせている。車内にそういう写真があればセーフティードライブにつながるのでは」と、フォトフレームのアイデアを思いついたそうです。

 以来、高校生だった長男を飲酒運転事故で亡くし、ともに撲滅運動に取り組んできたNPO法人「はぁとスペース」(福岡市)の理事長・山本美也子さんらと、このアイデアを温めてきました。今年、山本さんの長男が犠牲になった事故と「TEAM ZERO FUKUOKA」の活動開始から10年になるタイミングで、実現に向けて動きました。


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大川家具の廃材を加工

 フレームの製作を依頼したのは、知り合いのデザイナー久保哲也さん。工場などから出る廃材のセレクトショップ「MATERIAL MARKET」(福岡市西区)を夫婦で営んでいます。


多種多様な廃材が並ぶ「MATERIAL MARKET」

 材料を探し始めた久保さんは、福岡県大川市の家具工場で出る端材に目をつけました。写真がちょうど収まる穴があり、夏の車内の高温にも耐えられそうな材質です。


家具産地・大川の工場から出た端材

 これを運転の邪魔にならないサイズに加工し、表面に「I’m always with you.」と刻印しました。穴が深いため、写真はドライバーにだけ見えるようになっています。取り外しができるので、車から仕事場などに持ち運ぶこともできます。

「大切な人」が一番の抑止力

 「事故の多くはちょっとした気の緩みで起きます」と伊藤さん。「自分の愛している人が一番の抑止力。ドライバーが写真を見て大切な人のことを思い、飲酒運転や危険運転が少しでも減ってくれれば」と願っています。


「issho」を手にする伊藤さん(右)と久保さん

 販売を始めたのは8月25日。海の中道大橋(福岡市東区)で2006年、幼い3人の命が奪われた事故をきっかけに制定された「飲酒運転撲滅の日」にあたります。孫の写真を入れて両親に贈りたいと、買い求めた人もいるといいます。

 久保さんはかわいがっている猫の写真を入れています。「ハンドルを握っているとき、見られている感じがします。『ある』と『ない』とでは気持ちが違います」

 「issho」は限定100個の販売です。「MATERIAL MARKET」(土曜のみ営業)や「& LOCALS大濠公園」(福岡市中央区)、「はぁとcoffee」(福岡市東区)のほか、オンラインショップで購入できます。



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