まっすぐ前を向いて跳ぼう 「カエル寺」の愛称で親しまれる小郡市の如意輪寺

境内の様々な場所に鎮座するユニークなカエルたち

 6月6日は「ケロ(6)ケロ(6)」の語呂合わせで「かえるの日」――。福岡県小郡市の如意輪寺(にょいりんじ)は境内にカエルの置物やオブジェが所狭しと並び、「カエル寺」と親しまれている。閑静な住宅街に位置し、30年前までは参拝者がほとんどいなかった寺が、多い日は2000人が訪れる話題のインスタ映えスポットになっている。


涼しげな音色を奏でる参道の風鈴


 6月からは、短冊に願い事を書いた風鈴をつり下げる「風鈴まつり」を開いている。約3500個の風鈴が涼しげな音を奏で、参拝者らを楽しませている。


寺の内部に飾られたカエルの置物

 如意輪寺は、奈良時代の僧・行基が開いたとされ、本尊の観音像は福岡県の文化財に指定されている。その由緒ある寺の約6600平方メートルの境内には"1万匹"を超えるカエルがひしめく。


ユーモアあふれる説法も人気の原口さん

 住職の原口元秀(げんしゅう)さん(73)がカエルの置物を集めるようになったのは、ちょうど30年前。中国・西安の寺を参拝した際、立ち寄った出店で小さなカエルの置物を購入した。「無事に帰る」という願いを込めての買い物だったが、このことをきっかけに、古道具店や訪れた各地でカエルの置物を探し求めるようになった。


「インスタ映え」する境内には浴衣姿の女性も

 そうして集めた置物が「珍しい」と評判になり、「これも奉納したい」などと参拝に訪れる人が増えていったという。

 中国や韓国などのテレビでも紹介され、存在が海外にも知られた。コロナ禍前は、1日に30台の観光バスがやって来て、年間約30万人の参拝者でにぎわったという。


カエルの口から噴射されるシャボン玉を楽しむ親子連れ

 境内では様々なカエルが"お迎え"してくれる。昨年10月には「コロナ禍の生活を癒やしてくれるように」との願いを込めて、カエルの口からシャボン玉が飛び出すオブジェも設置し、参拝者の一番人気になっている。


こわごわとカエルの口をくぐる幼児

 カエルの口をくぐると、悪いことを良いことに「変える」ことができるとされるのが『くぐりかえる』。子どもたちに交じってチャレンジする大人の姿も見られる。


ちょうずの中に本物そっくりの置物が

 原口さんは「カエルは決して後ろ向きに跳びません。カエルのように人生を前向きに生きて」と笑顔で話していた。



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