田園地帯に並ぶメロンのような巨大ドーム 軍事の情報をとらえる防衛省太刀洗通信所

青々とした稲穂が揺れる田んぼの先に見えた太刀洗通信所のレーダードーム施設

 のどかな田園風景が広がる福岡県筑前町。筑紫野市から甘木市方面に、車で県道を走っていると、メロンのような巨大な丸い物体が突如現れた。


緑広がる田園風景の先に見えた

 防衛省情報本部・太刀洗通信所の巨大なレーダードーム施設だ。防衛省によると、日本最大の情報機関・防衛省情報本部の六つの通信所のうちの一つで、国内上空を飛ぶ各種電波を収集する、いわば日本の「耳」として、迅速に情報を収集・整理する役割を担っているという。


施設は住宅街にほど近い

 大韓航空機撃墜事件(1983年)で旧ソ連機の無線を傍受した陸幕調査第二課調査別室が情報本部・各通信所の前身という。施設が球体になっているのは、内部のパラボラアンテナがどちらに向いているのか分からないように覆っているからのようだ。


日本の「耳」として、情報を収集・整理する役割を担う

 軍事に関わる通信などを日々傍受・分析している施設とのこと。外観とはいえ果たして自由に撮影していいのだろうか。海外では類似の施設を撮影して逮捕されたという話も聞く。不安になり防衛省に確認すると、内部の取材はできないが、敷地外からの外観撮影は問題ないという。


太刀洗通信所の入り口

 施設の門では自衛隊員が鋭く目を光らせている。かわいらしい、まんまるの形状とは不釣り合いな引き締まった空気に、どこか居心地の悪さを感じる。


離れた場所からは、ゴルフボールのようにも見える

 距離を置いて、青々とした稲穂が揺れる田んぼ越しに眺めてみる。緊張感から解放されると、壮大な現代アート作品のような、親近感あるかわいらしい印象に戻った。あぜ道に腰を下ろして望遠レンズをのぞくと、ゴルフ場のグリーンに並ぶゴルフボールのようにも見えてきた。


周辺では穏やかな日常が営まれていた

 静かな時間が流れる中で、動き続けるレーダー施設。平穏な日常が続きますように――。"巨大なメロン"を見上げながら願った。



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