お茶の新たな魅力をカクテルで 産地の思いを届けるバーテンダー
記事 INDEX
- 広がる香りとうま味
- もっと日本の素材を
- 3者コラボで新商品!
お茶を使ったカクテル作りに取り組むバーテンダーが福岡市にいます。同市中央区大名にある「Japanese Salon 雫」の代表・髙橋宏明さん(39)。歴史と伝統が香る茶葉から新しい魅力を引き出すその技と思いに迫りました。
広がる香りとうま味
落ち着いた雰囲気の店内では、煎茶やほうじ茶、玉露などのお茶と、様々な酒をかけあわせた数十種類のカクテルを提供。液体に素材の香りを移す機械も駆使しながら、それぞれの特徴を踏まえて調整した独自の製法で作っているそうです。
おすすめは、八女茶の最高級品「八女伝統本玉露」を使った「“雫”マティーニ」(税込み1870円)です。ふっくらした口当たりの中に、お茶の香りとうま味が広がるカクテルで、お酒としての飲み応えもしっかりしています。
髙橋さんは「お茶はカクテルにすると味がかなり変わってしまいます。お茶の味わいを出すにはどうしたらいいかを常に意識しています」と話します。
もっと日本の素材を
髙橋さんは千葉県出身。20年ほど前、旅先の沖縄県で出会った森山勝盛さん(43)と意気投合したことがきっかけで、飲食店の経営を志します。2人で日本中を旅して一番気に入ったという福岡で店を開くことを目標に、バーテンダーの道へ進みました。
東京や千葉で修業し、新鮮なフルーツなど様々な素材を酒と合わせる「ミクソロジーカクテル」のバーテンダーとして学んだ髙橋さん。修業中、世界最大規模のカクテルコンペティション「キリンディアジオ・ワールドクラス世界大会」で、日本のトップ15人にも選ばれました。
そして2011年12月、森山さんとともに満を持して、「路地裏のShiki」を福岡市にオープン。日本の四季を感じられる料理に合うカクテルの提供を始めました。
次第に日本の素材をもっと生かしたカクテルへの思いが強くなった髙橋さん。そのときに出会ったのが、福岡を代表する八女茶でした。「『これぞお茶』という甘みとうま味。おいしいカクテルにしたい」。生産者の元を訪ねて茶葉の知識をより深め、2019年8月、お茶のカクテルを中心にした「Japanese Salon 雫」を開きます。
3者コラボで新商品!
髙橋さんが手がけるお茶のカクテルは話題を集め、活動の幅も広がってきました。2020年には、八女茶を世界にPRする「八女茶代表バーテンダー」として、東京や米国・ニューヨークでカクテルの講演を行いました。
今年は、福岡県八女市の酒蔵「喜多屋」、星野製茶園との3者協力により、リキュール「JAPANESE TEA SAKE 焙じ茶」(税込み3300円)を開発しました。「特別純米酒 喜多屋 プレミアム」をベースに、「稀ほうじ」「玉露ほうじ」を使用し、日本酒の味わいとほうじ茶の香りとコクが調和した一本に仕上げたといいます。
新茶の時期には茶畑に泊まり込んで作業に参加しているという髙橋さん。「新茶のために一年をかける生産者が一番だと思っています。飲めばその人たちの顔が自然と浮かぶようなカクテルを生み出していけたら」と話しています。
店名 | Japanese Salon 雫 |
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所在地 | 福岡市中央区大名1-8-25 1F |
営業時間 | 16:30~翌1:00 不定休 |