厚切り、手作りにこだわり半世紀 福岡生まれの個性派ポテチ
記事 INDEX
- 機械では再現できない厚み
- アメリカの流行を日本でも
- 「福岡の名物を目指したい」
福岡市東区松島に、50年にわたってポテトチップスを手作りしている店「ポテトハウス」があります。分厚さと硬い食感は、ほかにはないオンリーワンの味わいです。店を訪ね、その歩みとこだわりを聞きました。
機械では再現できない厚み
市立松島小学校のそばにある「ポテトハウス」。店舗裏の工場では、ジャガイモを大きな釜で揚げる作業の最中でした。早朝にスライサーでカットし、変色しないように水につけておいたジャガイモを釜の中へと次々に投じていきます。火が均等に通るようにかき混ぜながら揚げ、余分な油を切ってから、台に広げて塩を振りかけます。
「スライサーの刃の調整、バーナーの火、振りかける塩の加減もすべて自分たちでやっています。この分厚さは機械では再現できないものです」。代表の松本英治さん(49)が話します。
店舗では、出来立てのポテトチップスを1袋(100グラム)税込み350円で販売。定番の「しお味」、ガーリックをきかせた「キセキのスパイス味」「あごだし味」「バター醤油(しょうゆ)味」など全部で12種類あります。このほかに、一部でしか取り扱っていないコラボ商品もあるとのこと。いずれも分厚くて、ジャガイモのうまみがしっかりと伝わり、食べる手が止まらなくなるおいしさです。
アメリカの流行を日本でも
創業のきっかけは、現在の福岡空港に米軍基地があった頃にさかのぼります。松本さんの父・光義さんは青果を扱う会社に勤め、基地にも出入りしていました。
あるとき、アメリカで流行しているという食べものを基地関係者に見せられます。それがポテトチップスでした。「同じものを日本で作れないか」と求められ、製法を教わりながら、試行錯誤で完成させたそうです。
青果会社で販売するようになり、その会社を引き継いで、ポテトチップスを事業の中心に据えました。大手の製品とすみ分けを図るため、当時は業務用として生産し、中洲や天神の飲食店向けにおつまみとして卸していたといいます。
やがて、一般の消費者からも購入を希望する声が上がり、2007年に工場併設の直営店をオープンしました。現在は、インターネット通販のほか、ゆめタウン博多や西鉄福岡(天神)駅の土産店などでも販売しています。
「福岡の名物を目指したい」
「ポテトチップスだけでよく50年も続いたなと思います。お客さまはもちろん、従業員や取扱業者など助けてくれる関係者のおかげ」と感謝する松本さん。「ジャガイモ本来の味を楽しんでほしいと思って作っています。夢は『めんべい』や『博多通りもん』のように福岡の名物の一つになることです」と笑顔で話します。
自慢のポテトチップスは福岡市のふるさと納税返礼品にも選ばれ、知名度はさらに高まってきました。会社設立50年の節目となる今年は、新たなスナック商品の開発を目指して、クラウドファンディングにも挑戦するそうです。
<ポテトハウス>
所在地/福岡市東区松島3-4-10
営業時間/11:00~18:00
定休日/日曜・祝日
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