地域の”資源”でみんなのバス停を再生 小竹高等技術専門校
記事 INDEX
- ”卒業制作”で地元貢献
- 逆風に負けず奮闘中!
- 住民の励ましを支えに
福岡県小竹町の職業訓練施設・県立小竹高等技術専門校が地域貢献活動として、同校そばにあるバス停留所のリノベーションに取り組んでいる。現在7割ほど完成しており、バス停を利用する町民からは「見違えた」「雰囲気がいい」と早くも好評だ。
”卒業制作”で地元貢献
バス停は同校から徒歩5分にある「毛勝(けかち)団地前」。町が運営する巡回バスが一日に7回停車する。建築科の伊藤正司指導員が、卒業する生徒たちの集大成として何かを形に残したいと、老朽化していたバス停の改修を提案。バス停は「まるでお化け屋敷のようだった」そうで、町からも快諾を得て作業に着手した。
建築科の生徒は15~65歳の20人。バス停をどのように再生するか、4組に分かれてそれぞれ提案した。ブランコを設置して地域の交流の場にするプランや、大きな猫をデザインするアイデアなどが出たという。
町長らが参加した審査の結果、小竹町の「竹」をキーワードに、豊富な「竹」を活用する堀内茂さん(55)の案に決まった。壁面や窓枠の部分に、バーナーで焼いた竹材をふんだんに使うアイデアが評価された。同校は小高い丘に立ち、その周囲を覆うように竹林が広がっている。敷地に生えている竹を自由に使えることも好材料だった。
逆風に負けず奮闘中!
いざ作業を始めると、次々に問題が表面化した。バス停の屋根を支える柱がゆがんでおり、その補強が必要だった。ところが、資材の価格が円安の影響で跳ね上がり、なかなか入手できなかったという。バス停は昨年末にお披露目する予定だったが、現在は1月末の完成を目指し、校内で屋根の部分の組み立て作業などが進められている。
「そもそも竹は建材に向いていない」と伊藤指導員。変色し、耐久性に乏しく、太さもばらばら。青竹のままでは縮んで劣化するため、表面を熱処理する必要がある。作業場では連日、長さ2メートルの青竹を1時間ほどかけてバーナーであぶり、タオルで油分をぬぐう作業が続いた。
現地は霧が深く、冬場は「積雪がすごい」という。遠くからでも気づきやすく、見通しをよくするために、あぶった竹を壁面に並べて個性ある外観にした。
住民の励ましを支えに
地元住民の励ましは生徒たちの支えだ。バス停で作業していると、「ありがとう。楽しみにしていますよ」などと声をかけてくれることもあるそうで、堀内さんは「ありがたいですね。元気をもらっています」とほほ笑む。
古くから竹やぶが茂り、それが町名の起源になったとされる地域。時間がたってバス停の竹が傷んだときには、「地元の人が新しい竹に取り換えて『わがまちのバス停』を維持してもらえたら」と伊藤指導員は期待を寄せる。
町内には竹細工が得意なお年寄りもいるという。バス停の待合スペースは意外に広い。「ちょっとした作品を置いてもらい、バスを待つ人に癒やしを与える場になってくれたら」。間もなく完成するバス停への思いは膨らむ。