「古賀の母の味」を引き継ぎたい!千葉から移住した女性が奮闘中
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「古賀市「ふるさとの味伝承支援隊員」が活動の成果を披露」(2024/3/13公開)
コロナ禍で解散を余儀なくされた福岡県古賀市の農産物加工グループの味と技を引き継ごうと、千葉県市川市から専業主婦の関東憲子さん(47)が移住してきた。グループの元メンバーらの指導で修業を積み、3年後の独り立ちを目指す。
「まんま実~や」を未来へ
グループは、2009年に農家の女性ら13人で始めた「農村加工所 まんま実~や」。「子どもたちに伝えたい母の味 未来へ伝えたい古里の味」をモットーに、地元の農産物を使ったジャムやドレッシングなどの加工品、郷土料理のレトルト化など約30種類の商品を生み出したが、コロナ禍による売り上げの減少とメンバーの高齢化で20年12月に解散した。
せっかくの味が途絶えてしまうことを惜しんだ古賀市は、地域おこし協力隊の制度を活用し、「ふるさとの味伝承支援隊員」を公募。ネットで知り、「こんなに面白い活動が、後継者がいなくて途絶えるのはもったいない」と応募した関東さんが、書類審査やオンライン面接を経て、隊員に選ばれた。
「認められるものを作る」
大阪で生まれ育った関東さん。夫の宏幸さん(48)の転勤で福岡市東区と北九州市戸畑区に計3年ほど暮らし、義父や祖母が福岡県出身という縁はあったが、古賀市は「宮地嶽神社(福津市)やイケア(新宮町)に行く時に通り過ぎていた」という。
勤め先を退職した宏幸さん、犬と共に昨年12月中旬に移り住み、年明けから早速、ジャム作りや野菜の集荷、農産物直売所での研修などに追われている。2月1日には、グループの活動拠点だった加工所で、3日の節分に櫛田神社の境内で販売する恵方巻きの準備に携わった。
隊員の任用期間は最長で3年。その後の独立を目指し、農家との人脈作りも進める。関東さんは「味をしっかり引き継ぎ、一つくらいは『いい物を作ったね』と認められるものを作りたい」と意気込む。
グループ代表を務めた舩越美治代さん(74)は「貪欲、意欲的で心強い。伝えられるものはすべて伝える」と、関東さんを支え、鍛えていくという。