テレ東 大江麻理子キャスターが語る福岡愛 思い出すふるさとの景色とは
後輩に任せて見守るのが大江流
――フィールドキャスターを含む若いアナウンサーや記者をサポートし、見守る立場ですよね。大江さんは後輩をどうやって育ててますか?
少しずつ何かを任せるようにしています。WBSのマーケット情報の原稿は、当初は私が読んでいました。今はフィールドキャスターに読んでもらうようにしています。小さなところからでいいと思いますよ。ただし、任せるからには、前日の終値や最高値をチェックしておいて、「大きく値が動いたときにはひと言添えられるようにしようね」ということを伝えてみるとか。強制はしないんですよ。ただ、工夫をするようにアドバイスをする感じですね。
まずは自分が一歩引いて、任せてみる。「工夫してごらん」と一人でさせてみる。それを添削して、若い子が独力で作ったものと先輩のアドバイスをもらって変わったものを比較し、違いを感じてもらう。「それを積み重ねていけばいいよ」と言っています。
――大江さんは企業のトップであったり、大物にインタビューする機会も多いです。心がけていることはありますか?
その方やニュースに関するありとあらゆるものを読みあさって、いったん忘れるっていうことですかね。その上で、今一番テーマにしていることを聞きますね。
――忘れちゃうんですか?
そうでないと相手の答えがある程度予想できて、想定問答になるというか、「塗り絵」みたいになるとよくないなと思っています。答えを想定していると、それ以上にインタビューが発展しないことがあるので、「前に誰かが聞いたことは聞かないぞ」という心構えで聞くようにしています。いっぱい頭に詰め込んで、それは脇に置いておくというのがコツですかね。
――緊張とかしません?
常にしていますよ。今もしていますし(笑)。オンエアも毎日緊張しています。インタビューだと逆に、すごい方ほど相手に緊張感を与えないというのがあって、それに支えられているのでしょうね。でも、周囲からは「大江は誰に対してもおんなじだね」っていうのは言われるかも(笑)
ふるさとの棚田、今でも思い出す
――2020年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックイヤーです。目標は?
日本が世界中から注目される1年になるので、WBSでも経済的な切り口で様々な出来事を報道することを積み重ねたいです。それが視聴者の記憶になっていくことを楽しみにしながら、チームみんなで記録する作業を続けたいですね。毎回少人数で死にものぐるいにオンエアに立ち向かっていくWBSの態勢が好きなんです。
個人的にはメインキャスターになって丸6年になります。6年かぁ、長いですよね。だって小学生が卒業するわけですからね。一方で「まだ6年なのか」という思いもあります。やっと認知していただいてきたような気もするので、私ならではの伝え方、私ならではの働き方を模索していく1年になるのかもしれませんね。
――では最後に、地元・福岡県民に向けてメッセージを。
ありがとうございます。今、私が働いている環境とはまったく違うところで生まれ育ちました。星が友達であり、草がおもちゃだったことが、私の情操教育にはとても良かったと思うんです。福岡は自然も豊かだし、文化的にも発展していて、東京と比べて非常にコンパクトなエリアに何でもそろっていて、うらやましい。私の兄弟が福岡で子育てをしていて、「いいなぁ。福岡で生まれ育つ子どもは幸せだな」と感じるんです。近所に立派な公園はあるし、それでいて便利だし。
豊前にいるときは気づきませんでしたが、「自然ってこんなに貴重なんだ」と思います。生まれ育った近くには棚田が並んでいて、あの景色を思い出すことが今でもよくあるんですよね。画一化されない美しい景色や自然を自分たちのキラーコンテンツだと思って、大切にし続けてほしいです。本当に、宝物だらけだと思うんです。