困り事は「地産地助」で解決!高齢者らと専門家をマッチング
記事 INDEX
- 福岡の男性が活動
- 支援マップを製作
- ホームページ開設
障害がある人や高齢者らの困り事を、地域の力で解決しよう――。そんな目標を掲げ、福岡市の男性が、困っている人と、様々な知識や技術を持つ企業・団体の専門家をつなぐマッチングサービスを運営している。地産地消になぞらえて「地産地助」と名付けた取り組みで、男性は「困り事は百人百様。地域の助け合いの輪を広げていきたい」と願う。
福岡の男性が活動
高齢者や障害者の生活支援サービスを展開する「たより処 あきのて」(福岡市早良区)代表の嘉村俊明さん。福祉施設や病院に入所する際などの家財整理や引っ越し作業などを行っているほか、要らなくなった家具や家電製品が出た場合は生活に困窮している人らに無償で提供するなど、幅広く活動している。
嘉村さんが福祉の世界に飛び込んだのは、28歳の時にNGO職員としてミャンマーを訪れ、野球の指導にあたった経験がきっかけ。ミャンマーでは極端な貧富の差から、街には水も十分に飲めない孤児の姿もあった。麻薬が人々をむしばんでおり、野球に目を向けてもらうことで、青少年を薬物禍から防ぐことが目的だった。
社会人野球チームで活躍した嘉村さんが、投げ方やグラブの使い方など基本から一つ一つ丁寧に教えると、少年たちは目を輝かせて夢中でボールを追いかけていた。そうした姿に「誰かの役に立つことの大切さを肌で感じた」と振り返る。
支援マップを製作
帰国後もずっと「困っている人の力になりたい」との思いがあり、42歳で会社を退職して、介護施設に就職。ただ、職員として出来るサポートには限りがあると感じ、2018年に「たより処 あきのて」を始めた。
活動する中で、当事者や家族らから「終活に向けた準備がしたいがどこに相談していいかわからない」「足腰が弱くても旅行に行きたい。何かサービスはないか」などと相談されることが増えたため、必要な支援にたどりつける仕組みを作ろうと製作したのが「地産地助MAP」(A4判、3ページ)だ。
福祉タクシーを運行する事業者や遺言作成に詳しい行政書士事務所など、趣旨に賛同してくれた17企業・団体の情報をまとめたもので、22年1月に自費で500部を作った。事業者を通じて配布すると口コミで話題を呼び、同8月には発達障害などの育児支援に取り組む助産院や訪問型のフットケアサービスなどを新たに加え、福岡市内を中心に福岡県内各地の37企業・団体を掲載した第2版(同、7ページ)を製作。計3000部を作り、福祉施設などで活用されている。
ホームページ開設
さらに利便性を高めようと、今年2月には専用ホームページも開設。「オーダーメイド支援」「終活の相談窓口」「パパ・ママのたより処」といった困り事に沿って、専門家が検索できるように工夫している。
今後も企業・団体の掲載を増やしたい考えで、嘉村さんは「育児から介護まで、地域の助け合いの力で、困り事が解消できるような環境を整えたい」と意気込んでいる。