97歳の料理研究家「桧山タミ台所展」 門下生らが手作りで企画
記事 INDEX
- 誰かを思って向き合う
- 心が温かくなるように
- 大切なものを見つけて
福岡市で約60年にわたって料理教室を開いた桧山タミさん(97)の調理道具や生き方を紹介する「97歳の料理研究家 桧山タミ台所展」が、大丸福岡天神店で5月31日から開かれます。2019年に幕を下ろした教室の元生徒らが、クラウドファンディング(CF)で資金を募って企画しました。制作委員会の田中文さん(55)は「タミ先生から学んできたことをたくさんの人に伝えたい」と話します。
誰かを思って向き合う
桧山さんは戦前から戦後にかけて、女性料理研究家の草分けとされる江上トミさん(故人)に師事。30歳代で自身の料理教室を開きました。
教室では家庭料理を中心に、自然に逆らわず気候や風土にあった旬の食材を使うことや、食べる人のこと、家族や自分のことなどを考えながら料理と向き合う大切さを教えてきたといいます。
半世紀以上続いた料理教室を2019年11月にたたみ、現在は息子とともに大分県で暮らしています。
約20年にわたり指導を受けてきた田中さんが教室の片付けを手伝っていた際、桧山さんが20歳代の頃に書いたレシピ、新聞や雑誌に寄せた原稿などを発見。50年以上使い続けた調理道具もたくさんあり、貴重な資料や道具を通して桧山さんのことを伝えられないだろうか――と思い立ちました。
心が温かくなるように
元生徒らは企画を実現するため、CFサイト「CAMPFIRE」で資金集めを開始。今年1月20日から募集したところ、1週間で目標金額の600万円を超えました。最終日の2月25日までに614人から970万円あまりが寄せられました。
支援者からは「桧山料理塾の元生徒として、あの台所にまた立てるようで懐かしい」「先生のレシピの料理は今も作り続けています」「食の考え方だけではなく、先生の言葉、生き方、考え方に感銘を受けました」といった声が寄せられています。
田中さんは「こんなに望んでいる人がいるとは。みんなの心が温かくなるような展示にしたい」と話しています。
大切なものを見つけて
会場では、古い写真や年表を使って桧山さんの経歴などを紹介。書斎や食品保存棚を再現し、レシピノートなども展示するほか、「料理は作る人と食べる人の心と体を育む」「心を尽くした料理を食べた人は(道を)間違わない」といった桧山さんの言葉を紹介します。
「桧山タミ料理塾」で実際に使っていた台所を会場に移設し、50年から100年近く使い続けた台所道具も並べます。銅製の鍋やフライパンだけでも50点ほどあるそうで、なるべく多く見てもらうことにしています。
販売コーナーも設けます。桧山さんの著書「いのち愛しむ、人生キッチン」「みらいおにぎり」などのほか、手ぬぐいやポストカードといった会場限定グッズも用意します。
田中さんは「タミ先生の台所を通して、子どもや家族、健康など、自分にとって大切なものは何かを見つけられる場所にしたい」と思いを込めて準備を進めています。
イベント名 | 97歳の料理研究家 桧山タミ台所展 |
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会期 | 5月31日(水)~6月12日(月) |
開催時間 | 10:00~18:00(最終日は17:00まで) |
開催場所 | 大丸福岡天神店 本館8階催場 (福岡市中央区天神1-4-1) |
料金 | 当日券:1000円/前売り券:800円 ※混雑緩和のため、初日と土曜・日曜は日時指定制で要予約。中学生以下は保護者同伴で無料 |
公式サイト | 97歳の料理研究家 桧山タミ台所展 |