複雑だけどおもしろいマリンワールドの「ペンギン関係」
記事 INDEX
- 南アフリカに生息するペンギン
- ややこしくも、おもしろい相関図
- 見分けるポイントは…
- 動画でもお楽しみください
福岡市東区の水族館「マリンワールド海の中道」は、飼育しているケープペンギンの性格や関係性を示す相関図を作成しました。「頼もしいおかん」「禁断の恋」「超絶不仲」といった説明が添えられ、複雑な人間模様を描いたかのようです。新型コロナウイルスの影響で施設は臨時休館が続きましたが、相関図を作った飼育員は「みなさんとまた会えることをペンギンたちと楽しみにしています」と話しています。
23羽の個性から命名
南極など寒い場所で暮らすイメージが強いペンギンですが、実は南極近辺で生活するのは数種のみで、ケープペンギンは南アフリカの沿岸部に生息しています。マリンワールドで飼われている23羽には名前がありませんでしたが、今年3月、それぞれに命名されました。
付けられた名前は、南アフリカで使われる「アフリカーンス語」に由来したもの。「ライム(おおらか)」や「フータ(怒りん坊)」など、それぞれの性格や特徴をもとにしています。
名付け親は学芸員の久保舞華さん。飼育担当として5年間、ペンギンたちを見守っています。それぞれの個性や関係性を熟知しており、相関図も作成しました。
禁断の三角関係も!
相関図のタイトルは「飼育員は見た! 愛と憎しみのペンギン事情」で、3月中旬から「ペンギンの丘」に展示しています。それぞれの個性や性格を解説し、関係を示す矢印があちこちにのびています。
相関図には三角関係も・・・。久保さんによると、「レム」(雄)と「ルーク」(雌)はカップルですが、レムが「プエル」(雌)と浮気して、ルークが激怒。ルークはプエルが嫌いになり、近づくと威嚇するようになったといいます。レムはもともと気が多かったのですが、ルークとの間に子どもができると、おとなしくなったそうです。
ほかにも、「熟年夫婦の装い」「ご近所付き合い」といった説明が書き込まれています。久保さんを取り合っての争いもあるそうで、まるでテレビドラマを見ているかのよう。久保さんは「嫉妬して怒るところなど、愛情表現が人間に似ているところがあります。見ていて飽きないし、とてもおもしろいです」と話してくれました。
見分けが難しい
ところで、飼育員はどうやってペンギンを見分けているのでしょうか。そのポイントを教えてもらいました。
それぞれのペンギンの羽には、ビーズがついたバンドが取りつけられており、色の違いで分かるそうです。
しかし、ペンギンたちを見守り続けている久保さんは、バンドを確かめなくても簡単に分かります。ポイントの一つは顔で、一羽一羽をよく見ると、目の色やくちばしの大きさが違います。頭や体の大きさ、模様にも個体差があります。
久保さんは「ずっとペンギンと触れ合う中で、違いが分かるようになりました」と話し、「それぞれ性格が違い、個性的でかわいいですよ」と笑顔を見せました。
動画でお届け
新型コロナウイルスによるマリンワールドの臨時休館は5月19日まで。自粛生活に疲れた人も多いかと思いますが、ペンギンたちの様子を撮影した動画をぜひ楽しんでください。
施設のケープペンギンは、赤ちゃんが生まれて27羽に増えています。営業再開後には、延期している人気投票「マリンワールドP-1グランプリ」も行うそうです。