日系人初の米国連邦議員・イノウエ氏の記念館が八女市に完成
記事 INDEX
- 父の出身地・八女
- ゆかりの品を紹介
- 功績を知り励みに
日系人初の米連邦議会議員となり、日米友好や日系人の地位向上に尽力したダニエル・イノウエ氏(1924~2012年)の功績を紹介するミュージアムが、父親の出身地・福岡県八女市上陽町に完成し、4月23日、現地で式典が行われた。ハワイの顕彰団体から同市に寄贈された遺品や関連資料を展示しており、25日にオープンした。
父の出身地・八女
イノウエ氏は、ハワイ・ホノルル生まれの日系2世。祖父母と父親が横山村(現在の八女市上陽町)の出身で、移民としてハワイに渡った。1959年に日系人で初めて下院議員に当選。その後、上院議員に転じて連続9選を果たし、民主党の重鎮として日米関係の強化や先住民など少数派の地位向上に貢献した。
第2次大戦中は米陸軍に志願し、日系人部隊の「第442連隊戦闘団」に配属された。欧州戦線で右腕を失ったが、勇敢な戦いぶりで英雄とたたえられ、米軍人最高の栄誉とされる「名誉勲章」を受けた。その功績の大きさから、2017年にはハワイのホノルル国際空港が「ダニエル・K・イノウエ国際空港」に改称されている。
ゆかりの品を紹介
ミュージアムは、八女市の市制70周年などを記念して計画され、ホタルの生態系や上陽町に残る石橋について学べる市の施設「ほたると石橋の館」を改修して、総事業費約3億4300万円で整備。鉄筋コンクリート造り一部2階建て(延べ約900平方メートル)で、展示室のほか、カフェやショップなどを設け、「ダニエル イノウエ ミュージアム」と名付けた。
イノウエ氏が愛用していたアロハシャツや第442連隊戦闘団の刺しゅう入りのシャツ、ホノルルのオフィスで使っていたグラスやコースターのほか、日本政府から授与された勲一等旭日大綬章、イノウエ氏の父親の帰化申請書など約20点を展示。経歴や功績を紹介するパネル展示や写真、関連書籍なども置いている。
功績を知り励みに
式典には、三田村統之市長や、イノウエ氏の親戚にあたる上陽町の松崎保元さん(73)、在福岡米国領事館(福岡市)のチュカ・アシーケ首席領事ら約40人が出席。三田村市長が「イノウエ氏を顕彰して国内外に向けて情報発信し、市の活性化や国際交流の促進につなげていきたい」とあいさつし、テープカットで完成を祝った。
松崎さんは「展示品は初めて見るものばかりだったが、親族として誇らしかった。ミュージアムを訪れた子どもたちが、イノウエ氏のように夢や目標に向かって頑張ろうと思ってくれたらうれしい」と話した。
開館時間は午前10時~午後5時。水曜定休。入館無料。問い合わせは同ミュージアム(0943-24-8778)へ。