博多織「八女茶ネクタイ」はいかが? 使わない粉末で糸を染色

共同で開発したネクタイを手にする西村さん(右)と立川さん

 博多織の老舗織元「西村織物」(福岡県筑紫野市)が、神奈川県鎌倉市を拠点とするシャツ専門店と、使われない八女茶の粉などを活用してアップサイクルしたネクタイを製造している。西村織物社長の西村聡一郎さん(48)は「博多を代表する産品とともに、織物の魅力が伝わればうれしい」と話す。

西村織物と鎌倉シャツが開発

 西村織物は、1861年創業。博多織の織元の中で最も古く、帯を主に製造してきた。一方で和服を取り巻く環境は時代の流れとともに悪化。総務省の家計調査によると、2024年の1世帯当たりの年間支出額は2049円で、40年ほど前に比べ1割程度まで落ち込んだ。

 和服の需要が低迷する中、西村さんは数年前から、廃棄される絹糸を活用したバッグなどの開発に着手。ちょうどその頃、シャツ専門店「メーカーズシャツ鎌倉」(鎌倉シャツ)から声がかかった。同社も同じように捨てられるはずの食材などを使って商品開発に取り組んでいた。

 両社は22年から福岡県産の食品や植物を取り入れるプロジェクトを開始。福岡市の茶の小売店や朝倉市のワイナリーと交渉し、市場に出回らない八女茶とブドウの搾りかすを使って絹糸を染色し、ネクタイに生まれ変わらせてきた。

お茶から出る多彩な色に驚き

 八女茶のネクタイは23年に販売を始めた。福岡市の茶の小売店「光安青霞園茶舗」から、通常は流通しない非常に細かい八女茶の粉を譲り受け、東京の企業に染色を委託。茶の成分から染められた絹糸は、黄緑色や茶色、淡いピンクなどに仕上がった。同店の光安伸之さん(54)は「お茶からこんなに色が出るとは驚き。流通しないお茶を使ってもらいありがたい」と話す。


11月から販売を始めた八女茶のネクタイ

 西村織物の職人たちがこれらの絹糸に加え、紺色や茶色の絹糸をベースに、親子や夫婦の絆、繁栄・円満への願いを込めた伝統的な博多織の柄を織り込んで製品化。11月から新作4種が加わり、全10種(税込み各9790円)を鎌倉シャツの博多深見パークビルディング店(福岡市博多区)で販売している。

 さらに現在は、八女市のあまおうを使った新商品も開発中という。同店店長の立川遼一さん(37)は「SDGs(持続可能な開発目標)な商品を通じて、少しでも環境改善に貢献したい」と話し、西村さんは「ストーリーのある地元の物を身につけて、豊かな気持ちになってもらえたら」と願う。


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