食品廃棄物から発電 循環型社会へ福岡市で取り組みスタート
生ごみなどの食品廃棄物を発酵させてできたメタンガスを使って発電する取り組みが、福岡市で始まった。年間発電量は一般家庭約2700世帯分の年間使用量に当たり、食品廃棄物の削減に加え、再生可能エネルギーの利用促進にもつながると期待されている。
一般家庭2700世帯分!
手がけるのは、JFEエンジニアリング(東京)のグループ会社が設立した「福岡バイオフードリサイクル」(福岡市)。同市西区に設置した工場が3月に稼働を始めた。
工場では、飲食店やスーパー、食品加工場などから排出された食品廃棄物を受け入れる。微生物の力で20日間かけて発酵させ、発生したメタンガスで発電を行う。工場では、1日最大100トンの食品廃棄物を処理できる。
発電量は年間約1万2000メガ・ワット時で、一般家庭約2700世帯分の年間電力使用量に当たる。電力は小売り事業者に売電する。食品廃棄物を焼却処理しないことで、二酸化炭素削減量は年間5800トンに上るという。
また、処理の過程で発生する残りかすは、堆肥(たいひ)化して農業用の肥料への活用を進める。今年度中に肥料登録を目指していく。
生ごみの資源化を促進
5月21日には、工場の本格稼働を記念した式典が開かれた。同社の中川浩臣社長は「生ごみから発電することで、貴重な資源になる。エネルギーを地域に還元し、循環型社会の構築につなげたい」と力を込めた。
福岡市によると、市内の事業所から出る食品廃棄物は年間約5万トン(2022年度)に上り、事業所から出る燃えるごみの25%を占める。同市では、家庭ごみを含む食品廃棄物の焼却量を2030年度までに1万トン削減する目標を定めている。
福岡市は、食品廃棄物の削減につながるとして、同社工場の設置費用の一部を補助している。福岡市は今後、生ごみの飼料化施設やメタン化施設での処理費用のほか、食品廃棄物の保管場所の整備費用などの補助を開始し、各事業所から出る生ごみの資源化を進めていく考えだ。