”推し”に祈りを はせがわ若手社員が考案した「推し壇」が話題
仏壇販売大手のはせがわ(福岡市)が、2023年10月に販売を始めた「推し壇」が注目を集めています。好きなアニメのキャラクターやアイドルなど自分にとって尊い存在を神聖な場所に飾り、心を通わすための祭壇です。自らも「推し活」を楽しむ若手社員が情熱を傾けて開発しました。
社内公募にチャレンジ
国産ヒノキを用いるなど本物の神棚と同じ素材・技法で作られている推し壇。見た目は本格的な祭壇そのものですが、付属のリモコンを操作すると、”ステージ”のLEDライトが光り始めます。赤や青、紫など20色あり、光り方も点滅やグラデーションなど、推しのカラーに合わせて演出できます。
「自分が使いたくなる商品に仕上げました」と発案した入社4年目の郡司茉采さん(25)は言います。郡司さん自身もイチ推しのキャラクターがおり、推し活仲間の友人も多数います。友人らの声も参考に、自室のスペースが推しグッズで埋まっている人のために別売りの壁掛け棚も用意しました。飾る「推し」のサイズに応じて高さは最大46センチまで変更できます。
開発のきっかけは2022年に社内で公募された「チャレンジ企画」でした。「『心の平和と生きる力』を自らと人々が実現することを私たちの使命とする」という経営理念を念頭に、「自分自身が心の平和と生きる力を実現しているものは『推し』」と訴え、その熱意が評価され、商品化が決まります。神棚では通常使わないLEDライトの調達に苦労しましたが、展示会などで探して回り、約10か月かけて完成させました。
静かにささげる「祈り」
迎えた発売日、はせがわの公式X(旧ツイッター)で告知すると、投稿は瞬く間に1万回以上共有されました。本体価格は税込み9900円と決して安くはありませんが、注文が相次いで初日に増産が決定。現在はアニメグッズ販売の「アニメイト」や書籍・雑貨店「ヴィレッジヴァンガード」の通販サイトでも取り扱っています。
郡司さんは「ライブ観覧やグッズ購入はもちろん楽しいものですが、推し活を長く続けるためには時間やお金を過度に使わないことも大切だと思います。そこで『祈る』という静かで自己完結型の推し活を提案してみました。ぜひ推し壇を自分好みに飾ってほしい」と話しています。