来年こそは追い山を! 櫛田神社で博多祇園山笠の神事を開催
記事 INDEX
- 疫病退散を願う大切な神事
- 来夏こそ山笠を開催したい
- 熱い気持ちを抑えられずに
福岡市博多区の櫛田神社で7月15日未明、恒例の「祇園例大祭」が行われました。新型コロナウイルスの影響で、博多祇園山笠は行事が中止となり、例年この日に祭りを締めくくる「追い山」も見送られましたが、神事はいつも通りに実施され、来年の開催に向けて関係者らが疫病退散を祈願しました。
疫病退散を願う祭りの"原点"
祇園例大祭は、神社の拝殿で祝詞の奏上や玉串の奉納などを行い、まつられている神々に疫病退散や地域の平穏を願う神事です。毎年7月15日の午前3時から行われ、その約2時間後に、博多祇園山笠のクライマックスともいえる追い山が始まります。追い山もこの神事の奉納の一環です。櫛田神社によると、この例大祭がないことには追い山も行えないので、博多祇園山笠の"原点"ともいえる神事です。
例年なら拝殿に100人以上が集まりますが、新型コロナの感染を防ぐため、この日は参列者を約40人に縮小。追い山のスタートを待つ見物人のざわめきもなく、神事は静かに厳かに進行しました。阿部憲之介宮司の祝詞には「新型コロナウイルス」という言葉が加えられ、新型コロナの収束と来年の無事開催を関係者で祈願しました。博多祇園山笠振興会の武田忠也会長は「今年は何もできずに歯がゆかった。うずうずしている関係者や市民のためにも、来年はどうにか開催したい」と力強く語りました。
熱い気持ちを抑えきれず
いつもなら、「櫛田入り」を間近で見る桟敷席が設けられる境内。舁き山が集まることもないこの日は、静まりかえったままかと思われましたが、そんなことはありません。例大祭が始まる前から、各流の男たちや山笠ファンが続々とやって来て、拝殿の外で100人以上が神事をじっと見守りました。
約1時間の神事が終わった後も、多くの人が境内にとどまり、追い山が始まる午前4時59分頃には、舁き山が旋回する目印「清道旗」の周囲を走る男たちの姿もありました。山笠の高揚感を少しでも味わいたいのでしょう。1人が「祝いめでたの 若松さまよ」と声を上げると、周りが「若松さまよ」と続き、博多祝い唄を唱和しました。
東流の男性は、この2週間、山笠のことばかり考えていたといいます。気持ちを抑えられずに境内を訪れたそうで、「山笠のことを考える機会が多く、山笠が本当に好きなのだと再認識できました。来年は2年分の思いをぶつけたい」と気持ちを新たにしていました。