現役の競輪選手が旦過市場で営むカフェ 「出会い、つながり、踏み出す場所に」

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「北九州の台所」として地域の人に愛され、昭和の面影を残す観光スポットとしても注目される北九州市小倉北区の旦過市場。鮮魚や野菜といった古くからの店とともに、若い世代に人気の菓子店や飲食店も点在する面白い空間です。その一角に2019年11月にオープンした「BENNY’S COFFEE」は、現役の競輪選手が営むカフェです。
競輪選手はコーヒーが好き!?
店主の別所英幸さんは、北九州メディアドームを拠点とする競輪選手。小さな店は木目を生かした明るい内装で、昭和レトロな市場の雰囲気とのギャップも魅力です。アメリカーノ、カプチーノといったコーヒーメニューのほか、紅茶やイタリアンソーダなどのドリンク類、ホットサンド、手作りチーズケーキをそろえています。
競輪選手はレース期間中、外部との接触を絶って宿舎で生活しなければなりません。携帯電話やパソコンの持ち込みも禁止です。必然的に読書などで過ごす時間が長くなり、コーヒーがその"お供"になります。別所さんをはじめ、コーヒーにこだわる選手は多く、お気に入りの豆や道具を宿舎に持ち込んでいるそうです。
コーヒー好きが高じて
そんな別所さんの元に話が巡って来たのが、大好きなコーヒーに携わることができるカフェの出店。午前中の練習を終え、ランチの後にコーヒーを飲みながらひと息つくのが至福の時間であることから、自分でカフェを出して、そこを"根城"にすればいいと考えるに至りました。
「今は競輪選手の仕事が大好きで楽しくてやっていますが、ずっと続けるのは難しい。競輪選手をやめた後の人生は、何を楽しんでやっていくかと考えてはいました」。いろんな人が行き交う旦過市場という場所で、カフェをできるのも理想的だったといいます。
カフェ2階に設けられたフリースペースはリーズナブルな料金で貸し出されており(10分100円)水、金、土曜は英会話教室が開かれています。その他これまでにぬか床教室やしめ縄づくりなどの講習会も開かれました。何かを始めたい人たちのファーストステップになれればと、起業準備にも活用の幅を広げています。
子どもたちに絵本を贈る活動
別所さんは2019年1月から、レースで1着になるたびに子どもに絵本を贈る活動をしています。以前から賞金の一部をユニセフや「国境なき医師団」に寄付していましたが、相手の顔が見えないことに寂しさも感じ、絵本の贈呈を思いついたそうです。自身の生き方も、西野亮廣さんの絵本に影響を受けたことがきっかけになりました。
当初はSNSで呼びかけ、知人らが関係する幼稚園などに配っていましたが、口コミで活動が知られるようになり、今では施設側から依頼されるとのこと。「子どもに絵本を贈ることなら、自分も楽しんで続けられると思ったんです」と話します。
今はレース終盤で、「あとひと踏ん張りすれば絵本を届けられる!」と最後の力が湧いてくるといいます。絵本のプレゼントは現役を退いても続けたいそうで、どんな方法がよいかを考えています。
いろんな人がつながる場所に
頑張っている人を応援するのが大好きという別所さん。「自分の生活は競輪でできるので、カフェの利益はみんなのためにと思ってやっています」と話します。今後、BENNY’S COFFEEのほかにも、人が集う場所を増やしていきたいと考えています。
「自分は競輪選手という肩書がアドバンテージになり、やりたい事をスタートしやすかった。でも世の中にはそうじゃない人が多い。いろんな人が出会い、つながって、そこから新しい一歩を踏み出したり、何かが生まれるきっかけになったり、後押しできる場所をつくりたい。何より、そこに自分が関わっていられるのが楽しいですから」
店名 | BENNY'S COFFEE(ベニーズ コーヒー) |
所在地 | 北九州市小倉北区魚町4-1-18 旦過市場内 |
営業時間 | 11:00〜17:00 (日曜定休) |
公式サイト | BENNY'S COFFEEのフェイスブック |