盲導犬の入店拒否をなくしたい 福岡の高校生がマニュアル作成

ワン・フクオカ・ビルディングの中を歩く平岡さん(右)らと訓練犬のポノ

記事 INDEX

  • 壁のない世界を目指す
  • 受け入れの手順を解説
  • 盲導犬が身近な存在に

 盲導犬の入店拒否をなくしたい――。筑紫女学園高校(福岡市中央区)の生徒が、飲食店の理解を広めようと、「盲導犬対応マニュアル」の作成を進めています。1月中旬には、福岡市・天神のワン・フクオカ・ビルディング(ワンビル)で、完成間近のマニュアルを使って、テナント関係者向けのセミナーを開きました。

壁のない世界を目指す

 マニュアル作りに取り組むのは同高1年の平岡美波さん。小学4年の頃、平岡さんは家で犬を飼うことになり、「ペットショップに行くより、殺処分されるワンちゃんを引き取りたい」と話していたそうです。


セミナーの打ち合わせをする平岡さん

 その際、盲導犬になる子犬を産む親犬を飼育する「繁殖犬ボランティア」を両親の知人に紹介されました。興味を持った平岡さんは九州盲導犬協会に飼い主として登録し、ラブラドールレトリバーのティノを迎え入れることになりました。

 ティノは6年間で2度出産。平岡さん家族は子犬が育つまでの2か月間、ミルクをあげるなど世話をしました。ティノとの生活を通じて、「盲導犬はとても大切な存在」と改めて感じたといいます。

 しかし、新聞やテレビで盲導犬の同伴が拒否されたというニュースに接し、「盲導犬がいるから目が見えない人の自由が広がるのに、なぜ行動が制限されるのだろう」と疑問を持つようになりました。

 2025年5月、平岡さんはこの現状を変えたいと、高校生が社会問題の解決に挑む福岡県の事業「未来をつくる高校生チャレンジ」に応募。盲導犬に関する聞き取り調査や受け入れマニュアルの作成、店舗責任者へのセミナー開催などを提案し、プロジェクトとして採択されました。


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受け入れの手順を解説

 さっそく活動を始めた平岡さん。福岡県内に住む盲導犬利用者19人を対象にした聞き取りでは、9割の人が盲導犬の入店を断られた経験があることが判明しました。また、飲食店17店舗にアンケートを行ったところ、「衛生面が心配」「対応の仕方が分からない」「スタッフ教育ができていない」といった声が寄せられました。

 飲食店の不安を解消するために取りかかったのが、対応マニュアルの作成です。平岡さんは、九州盲導犬協会にも協力してもらいながら、掲載内容や文章、イラストの原案などを考えました。読みやすく、理解が進む誌面になるよう、デザインはプロジェクトの補助金を使って専門の会社に依頼しました。


試作したマニュアル。デザインにもこだわり、読みやすいように心がけた

 マニュアルでは、法律によって店側は盲導犬などの補助犬を受け入れる義務があることを紹介。店が不安を感じている衛生面の問題については、「決められた場所で指示して排せつができるように訓練されている」など、イラストを添えて解説しています。

 また、他の来店客にも盲導犬の入店が問題ないことを理解してもらうため、年に1度ワクチンを打っていることや、毛が飛び散らない服を着用していることなど、店員が客に説明しやすいようにまとめたページも収録しています。

盲導犬が身近な存在に


ワンビルで行われた平岡さんのセミナー

 ワンビルで開いたセミナーには、飲食テナントから25店の店長らが参加。試作したマニュアルを配布し、内容や利用方法などを説明しました。


マニュアルに目を通す店舗関係者ら


 セミナーには、九州盲導犬協会の関係者と盲導犬をめざす訓練犬・ポノも参加し、視覚障害者を接客するデモンストレーションが行われました。スイーツ専門店からの出席者は「とても勉強になりました。すべてのお客さんに細やかなサービスを提供したい」と話していました。


訓練犬・ポノによるデモンストレーション


 マニュアルを携えて県内各地の店舗に出向き、盲導犬への理解を広げたいと意気込む平岡さん。「飲食店のみなさんが盲導犬を身近に感じてもらい、盲導犬がいることが当たり前の世の中になったらいいな」と話します。



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