幕末から昭和の営みを伝える 「写真機がのこした柳川」刊行
「写真機がのこした柳川」の内容を説明する江島館長
福岡県柳川市の市史編集委員会(有馬学委員長)は、幕末から昭和50年前後に、柳川に関わりがある人々や暮らしの様子、農水産業などの営みを撮影した写真を集めた市史別編「写真機がのこした柳川」を刊行した。柳川古文書館などで販売しており、市は「柳川の風景や人物について家族や知り合いと語り合い、歴史を次の世代につなげてほしい」と期待している。
藩士の帯刀姿
市は1993年度から市史を編さんしており、これまでに41冊を刊行。2025年が、3市町合併から20年と昭和100年の節目に当たることから、20年度以降、柳川古文書館が所蔵するものや県内外の文化施設などから提供してもらった写真をまとめ、別編を編集した。
A4判526ページで、約1600点の写真を紹介している。冒頭の「黎明(れいめい)期の写真」では、柳川藩士で明治政府に出仕し、軍人や貴族院議員などとして活躍した曽我祐準(すけのり)の若き日の帯刀姿を、長崎の写真家・上野彦馬が慶応元年(1865年)に撮影した写真を掲載。戊辰戦争に出兵した藩士らの写真もある。
「やながわの写真館」では、上野彦馬に学び、柳川で最初に開業した写真館をはじめ、明治から戦前に登場した写真館や、館主の家族と詩人・北原白秋が記念撮影した写真などが選ばれている。
掘割の暮らし
「水」の章では、戦後から昭和30年代、子どもを背負い、貝などを水揚げする女性たち、タイラギを取る潜水具、足踏み式水車で堀から水を引き込む農作業の様子などが並ぶ。
「街」「人」「家」の各章では、多くの店舗が並び、買い物客でにぎわっていた大正から昭和初期の京町の光景や、大正11年(1922年)に落成し「柳河地方最大美観の建物」と報じられた柳河銀行の写真などがあり、警察署や裁判所、病院の様子も写されている。
日清・日露戦争に従軍した兵士、太平洋戦時中、「銃後の守り」として活動した国防婦人会、将兵を勇気づけるため、戦地に送ったふるさとの風景や家族の写真も。明治以降の女性の髪形の変化や、人々の装いの移り変わりを見比べることができる特集もある。
別冊(66ページ)には、観光地や学校施設、児童の様子を写した絵はがきなど約400点を掲載している。
柳川古文書館の江島香館長は「写真に対する印象は見る人によって異なるので、簡潔な説明にとどめた。この本をきっかけに柳川の歴史と魅力が多くの人に広まってほしい」と話している。税込み4000円。問い合わせは同館(0944-72-1275)へ。







