連載初年から「コボちゃん」切り抜き スクラップの束は母娘で重ねた交流の証
記事 INDEX
- スクラップは約580冊
- 連載漫画がつないだ母娘の交流
- コボちゃんは我が家の生活の一部
一般全国紙の連載漫画で最長の通算1万3750回を達成した読売新聞朝刊の四コマ漫画「コボちゃん」。連載が始まった1982年からスクラップし続けている女性がいます。北九州市在住の服藤ハル子さん(97)。「毎日の楽しみ。今後も長く続けてほしい」と作者の植田まさしさんにエールを送る服藤さんに話を聞きました。
スクラップは約580冊
服藤さんは、約50年前から読売新聞を購読。新聞を広げ、一番最初に目を通すのがコボちゃんです。裁ちばさみで数日分をまとめて切り抜き、10~30枚ほどたまったら針と糸を使って束ねます。これまで切り抜いたスクラップの束はなんと約580冊にもなります。
最も古い切り抜きは、連載が始まった1982年の7月24日に掲載された第113回。結婚を機に親元を離れた長女・実松由美子さんと手紙のやりとりをする中で、切り抜きを同封するようになったそう。束の数は母娘で重ねた交流の回数でもあります。
連載漫画がつないだ母娘の交流
由美子さんは当時、転勤族だった夫とともに全国を転々としていました。「遠く離れた地で暮らす私を心配して、漫画で心を和ませようと考えたのでしょう」。由美子さんは手紙と一緒に、切り抜きを大切に保管してきました。
服藤さんは夫が亡くなって一人暮らしになり、3年前から由美子さんと同居を始めました。それでも、長年の習慣が途切れることはありませんでした。「楽しんでいるから、苦に思ったことはない」と服藤さん。娘は「母が元気なうちに新聞社に伝えたい」と、昨年8月、読売新聞西部本社に投稿を寄せました。
コボちゃんは我が家の生活の一部
今年1月10日、自宅で食卓にずらりと並べられた切り抜きの束を見て、服藤さんは「こんなにしたのかね」と驚いた表情を見せました。高齢になっても散歩やラジオ体操、デイサービスに通うなどして過ごしています。
「読むのはうれしいし、切り抜くのは楽しい」と服藤さん。由美子さんは「コボちゃんは我が家の生活の一部。植田さんにはこれからも体調に気をつけて、書き続けてほしいです」と願っています。