飲めない人も酔いたくない日も「ノンアル飲料」で乾杯

モクテルを並べる「OTOE」の高比良さん。見た目の美しさも魅力だ

記事 INDEX

  • 「モクテル」という選択
  • ドライブも仕事も大丈夫
  • 酒店でも取り扱い広がる

 お酒が醸すひとときは格別だが、飲めない人も、酔いたくない人もいる。そんな人も「乾杯」できるようにと、ノンアルコール(ノンアル)飲料の種類が豊富になり、選べる機会も広がっている。

「モクテル」という選択

 福岡市中央区のカフェ&バー「OTOE(オトエ)」で、オーナーの高比良誠也さん(34)がグラスをカウンターに並べた。青色が美しい「洋ナシのブルートニック」や、チョコレートソースがかかった「バナナのミルキーオレオ」は、見た目はカクテルだが、実はノンアルの「モクテル」。モクテルは「見せかけの」を意味する英語「mock(モック)」とカクテルを合わせた造語だ。


数多くのモクテルを提供するOTOEの店内

 同店では、メニューにある30~40種類のアルコールの8、9割をノンアルにして提供できる。カクテルは本来、果実などの香味がある酒・リキュールをソーダやジュースで割るなどして作るが、モクテルの場合、リキュールをアルコール分ゼロのシロップに置き換える。


OTOEで使用するシロップ

 店では、2018年の開業当初からモクテルに力を入れており、客の4割程度がノンアル飲料を選ぶそうだ。高比良さん自身もアルコールには強くない体質で、「『バーではお酒を飲まなくちゃ』と思わなくてもいいんです」とほほえむ。福岡市の会社員女性(26)は「お酒は好きだけれど酔いたくない日もある。そんな時はモクテルを飲みます」と話した。

ドライブも仕事も大丈夫

 モクテルには、飲んでも運転できるというメリットもある。福岡県糸島市の海沿いにあるカフェ&レストラン「HACHIDORI(ハチドリ)」はドライブ客が多く、自家製のジンジャーシロップなどを使って食用花を添えた華やかなモクテルを提供している。オーナーの吉村優輝さん(29)は「ハンドルキーパーの人も、仲間と一緒に乾杯してほしい」と期待する。


ドライブ客にモクテルを提供するHACHIDORIの吉村さん


 全国のノンアル飲料情報を発信するウェブメディア「ノンアルリサーチ」は、県内でノンアル飲料を提供する飲食店約900軒を紹介。ウェブを運営する八木重崇さん(35)(兵庫県)は、ジュースとの違いについて「大人向けに苦みや香りを加え、料理にも合う後味やのどごしにしているのがノンアル飲料」と説明する。

 市場調査会社「インテージ」(東京)によると、ノンアル飲料(アルコール度数1%未満の飲料含む)の販売金額は2017年の640億円から21年には805億円に伸びた。同社アナリストの木地利光さんは、コロナ禍による在宅時間の増加が影響していると指摘し、「夕食後に家事や仕事をする機会も増えており、酔わずに時間を有効活用したいという意識が働いているようだ」と推測する。

酒店でも取り扱い広がる

 自宅でもノンアル飲料を楽しむ人が増え、品ぞろえが豊富になっている。

 福岡市中央区の「酒屋ナカムラ」は主に欧州などから輸入された商品8種をそろえ、ワインテイストのものは食事との相性にこだわって造られているのが特徴。禁酒法時代のアメリカで飲まれていたという飲料は果実酢に果物やハーブで香りを付けてある。店の担当者は「海外では宗教上の理由で酒を飲まない人も多く、そうした人も楽しめる商品が出ています」と話す。


「酒屋ナカムラ」で販売するノンアル飲料

 北九州市で酒類の商品企画を行う「さけのいちざ」は、炭酸水などで割って飲むノンアルレモンサワーの素(もと)などの商品を開発。梅酒風の「うめとろりん」は、山田錦の米あめを使用することで酒のようなコクやうまみを再現している。県内の酒店などで販売しており、小平(こひら)ゆきえ代表は「『まるでお酒を飲んでいるよう』という充実感を体験してもらいたい」と力を込める。


さけのいちざが開発した「うめとろりん」


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