楽しみ方いろいろ「日本茶」 先入観を捨て新たな魅力を発見

ワイングラスに茶を注ぐ池松さん

記事 INDEX

  • 味と香りの変化を楽しむ
  • 新しい飲み方を探求する
  • お茶を満喫できるホテル

 新茶の季節。湯飲みやペットボトルで飲むことの多い日本茶も、飲み方を変えれば新たな魅力に出会える。

味と香りの変化を楽しむ

 福岡市中央区の日本茶専門店「茶舗ふりゅう」にあるカフェで、代表の池松伸彦さん(36)が、器を変えながら4煎目まで茶をいれてくれた。

 1煎目は急須に広げた静岡産高級茶葉を、少量の氷水で約3分抽出した。猪口(ちょこ)に注いだ液体はスープのように味が濃厚。水温が低いと苦み成分が溶け出しにくく、葉の表面にあるうまみだけを味わえるそうだ。

 2煎目は、急須に熱い湯を足した直後に氷を入れて急冷。湯で甘みや香りを引き出しながらも苦みは抑え、ワイングラスに注いで爽やかな色と芳香を引き立てた。

 熱い湯でいれる3、4煎目はほろ苦さのあるほっとする味。ティーカップや湯飲みで堪能した。


いれ方によって味と香りが大きく変わる

 池松さんは日本茶の奥深さにひかれて2010年に福岡県久留米市で茶葉販売を始めた。「いい茶葉でもいれ方を知らないともったいない」と19年に福岡市に店を開き、八女茶や静岡茶を解説付きで2~4煎まで試せるメニュー(870~2500円)を提供している。

 来店した東京都の会社員女性(40)は「温度で変化する味と香りを楽しめた」と満足した様子。池松さんは「身近すぎて本当の魅力が知られていない。先入観にとらわれず、色々な飲み方を試して」とほほえんだ。


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新しい飲み方を探求する

 日本茶は世界的に人気が高まり、22年の緑茶輸出額は過去最高の219億円だった。国内でも新しい飲み方を探求する動きが広がる。

 福岡市中央区のバー「Japanese Salon 雫(しずく)」は、日本茶を使ったオリジナルカクテルを提供している。八女茶をスパークリングワインで抽出した「煎茶スパークリング」(1320円)や、玉露を使った「八女伝統本玉露雫マティーニ」(1870円)など、約50種類をそろえる。


「雫」で提供する(左から)焙じ茶日本酒、八女伝統本玉露マティーニ、煎茶スパークリング

 オーナーの高橋宏明さん(40)はカクテルの世界大会で受賞するなどバーテンダーとして国内外で活躍しており、「日本茶の可能性を広げたい」と11年に同区に茶の酒と料理を楽しめるレストランをオープンし、「雫」は2店目となる。

 昨年には福岡県八女市の製茶園や酒蔵とともに焙(ほう)じ茶と日本酒を融合させた新しい酒を共同開発するなど活動は幅広く、「ほかにない味を生み出すとともに、日本茶が見直されるきっかけを作れたら」と話す。


八女アンサンブリューのアイスとホット

 同区の大濠公園にあるカフェ「&LOCALS 大濠公園」は、八女茶や地域の食材を使ったメニューを提供。一番人気の「八女アンサンブリュー」(500円)は抹茶をベースに焙じ茶、和紅茶、玄米茶をブレンドしたオリジナルドリンクで、うまみ、香ばしさやほろ苦さが同時に楽しめる。店長は「コーヒーにも負けない香り高さとコクです」と話す。

お茶を満喫できるホテル


土蔵を改修した客室(左)と製茶機械がある客室(ホテル提供)

 八女市には日本茶をテーマにしたホテル「NIPPONIA HOTEL 八女福島 商家町」がある。老舗茶舗や土蔵だった建物を、客室やレストランに改修しており、製茶機械が残る客室もある。


八女茶を楽しむ朝食(ホテル提供)

 八女茶を楽しむ朝食や、茶葉を生かしたフレンチのディナーコース、ホテルオリジナルのティーカクテル、緑茶風呂などで、八女茶を満喫できる。「八女中央大茶園」の雄大な景色を見渡せるテラスで八女茶飲み比べなどの体験イベント(別料金)も用意している。1泊2食付き1人3万5090円(2人1室)から。

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