「国産アロマオイル」でリラックス 地元素材の香りを楽しもう
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記事 INDEX
- 植木産地のクラフトアロマ
- サウナのロウリュウで活用
- 化粧品やのどあめなどにも
寒くなり部屋で過ごす時間が増える季節。リラックスや抗菌などの効果があるアロマを楽しんでみてはどうだろう。地元特産の植物を原料にした精油(エッセンシャルオイル)や、精油を配合した化粧品が福岡県内で作られている。
植木産地のクラフトアロマ
全国有数の植木の産地、久留米市田主丸町。11月下旬、一般社団法人「緑の機能性研究所」代表理事の福島明裕さん(62)が、県緑化センターにある倉庫で、精油作りに取り組んでいた。
チップ状にしたウラジロモミの枝葉を蒸留器に入れ、水蒸気で加熱すると、爽やかな香りが漂った。枝葉23キロから1時間半ほどかけて、130ミリ・リットルの精油を抽出した。
福島さんは、植木の生産販売会社の2代目。植木の需要が減る中、樹木の香りに着目し、2017年から精油の販売を始めた。法人は20年に設立した。生産者らと協力して、県の緑化木推奨樹種のギンバイカ(マートル)などを、精油用の樹木として栽培する。
2024年11月には商品デザインを刷新。クラフトアロマ「UEKiYA AROMA」として発売した。福島さんは「将来的に地域がアロマの産地になれば」と語る。
サウナのロウリュウで活用
八女市立花町の八女飛形蒸留所は「幸せ国産アロマオイル」と銘打って、地元産や九州産のユズや甘夏、レモンなどのかんきつ類や、ハーブや花とブレンドした約40種類の精油を製造販売する。
精油を抽出する際に同時に出てくるアロマウォーター(芳香蒸留水)も取り扱う。蒸留水は精油よりもほのかな香りで油分がないため、加湿器に入れても使える。サウナの中で熱した石に水をかけて水蒸気を発生させる「ロウリュウ」にもお薦めで、敷地内に設置したサウナでのロウリュウ体験を6月から始めた。
経営するのは、八女特産のタケノコの加工食品などを製造する老舗メーカーの大一食品工業。社長の松﨑大成さん(62)によると、国産の精油は「和精油」と呼ばれ人気が高まっているという。「安心安全な原料と地下水を使い、植物が本来持つ奥深い香りを引き出すよう工夫しています」と胸を張る。
化粧品やのどあめなどにも
芦屋町の化粧品製造販売会社「パルセイユ」は、町内で栽培された無農薬の赤ジソから抽出した精油を配合した化粧水やシャンプー、のどあめなどを売り出している。県内の大学などと共同研究した。
同社は、石油系の原料や防腐剤などを使わない自然素材の製品を作ってきた。赤ジソ以外にも自社農園で栽培するハーブや、市場に出せない規格外のかんきつ類などを精油づくりに活用している。
24年、精油を増産するため大型の蒸留器を増設。25年6月の赤ジソの収穫期から稼働させるという。社長の金井誠一さん(61)は「これまで精油は海外から輸入されることが多かったが、円安や紛争などの影響で調達が難しくなってきている。品質のよい国産の精油がより求められてくる」と話す。
市場規模は拡大中
アロマの市場規模は拡大している。日本アロマ環境協会(東京)が3年ごとに実施している調査では、2021年の精油や精油を配合した製品などの市場規模は約3973億円。18年比で約409億円増えて過去最高だった。
天然の植物から香り成分を抽出して作る精油は、森林資源の活用策としても注目されている。
熊本県小国町の小国町森林組合は、特産の小国杉の枝葉から抽出した精油を開発した。伐採し出荷する際、廃棄されていた部分を活用する。山林を経営する大分県中津市の「久恒山林」は、「六月八日」のブランド名で、スギやヒノキ、クロモジなどの精油や芳香蒸留水、アイピローなどの雑貨を取り扱っている。
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