住民の暮らしを運んで地球を毎日6周 「バス社会」福岡を背負う西鉄の本気

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  • 日本屈指のバス会社
  • 都市高速にも路線バス
  • アプリでわかる運行情報

 新生活をスタートする慣れない土地で、まず押さえたいのは交通の情報ではないでしょうか。鉄道網が縦横に整備されている関東・関西圏とは異なり、福岡は圧倒的な"バス社会"です。目にする路線バスのほとんどは西日本鉄道(福岡市)の車両。今回は、福岡県民の足として各地を走る「西鉄バス」について紹介します。

西日本鉄道
1908年設立。バス事業、鉄道事業のほか、流通、ホテル、マンション開発などの事業を展開し、2018年度の営業収益(連結)は3968億円。九州一の繁華街で、西鉄天神大牟田線のターミナルがある福岡市・天神地区の"大地主"でもある。路線バス事業は、本社のほかに「西鉄バス北九州」「西鉄バス久留米」「西鉄バス筑豊」などの地域会社が福岡県内に6社、県外にもグループ3社がある。


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バスまたバス、そしてまた…

 福岡市内には実に多くのバスが走っています。乗降客が多いのは、ビジネスの中心・博多駅エリア(博多区)と、繁華街・天神(中央区)の一帯です。幹線道路を次から次にバスが通り、自家用車を運転していると前後をバスに挟まれることも珍しくありません。天神の中心部を貫く渡辺通りには停留所が連なり、各方面に向かう人たちがバスを待っています。市内には市営地下鉄が3路線あり、たくさんの利用者がいますが、目的地のそばまで送り届けてくれるバスはやはり便利です。


バスが次々に走りすぎる片側4車線の渡辺通り

 中心部からやや離れた「六本松」の停留所(中央区)にやって来ました。バスの到着時刻を知らせる案内を確認すると、博多駅をはじめ目的地に向かうバスが数分間隔で続いていることが一目瞭然です。


バスの到着予定を知らせる停留所の表示(福岡市中央区六本松で)


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たった1日で地球を6周!!

 福岡のバス事情を知りたければ西鉄に聞け――。そういうわけで、西鉄本社を訪ねました。天神のど真ん中にあった本社は大規模再開発に伴い、今は博多駅の近くに移っています。自動車事業本部の鍋田真歩さんが2018年度のデータをもとに説明してくれました。


西鉄自動車事業本部の鍋田さん


 西鉄の路線バス事業を担っているのは、本社のほかグループ9社。高速バスを含む全体で2710台を保有しており、「日本でトップレベルです」と鍋田さんが教えてくれました。1日平均73万8000人、年間で2億7000万人がバスを利用しているそうです。一部のバスは佐賀、大分県を走っていますが、ほとんどは福岡県内の路線です。


博多駅前を走る西鉄バス

 このうち福岡市と近郊の路線をメインとする西鉄本社だけで1733台のバスを保有しています。1日の走行距離は地球6周分に相当する23万7000キロに達し、約51万7000人が利用します。競争環境は異なりますが、都営バス(東京)の約64万人、大阪シティバス(大阪)の約21万人と比較しても、福岡の住民の暮らしにバスが浸透していることを示す数字だと思います。


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路線バスが都市高を"快走"

 福岡都市高速道路を走っていると、西鉄バスにしょっちゅう出会います。高速バスではなく、ふつうの路線バスです。乗客はシートベルトを着けておらず、つり革を握って立っている人もいます。これは①時速60キロ以下で走行する②都市高を走る距離は路線全体の半分以下――などを条件に規制が緩和されているからです。地元の人にはありふれた光景ですが、初めての人は驚くようです。


福岡都市高速を路線バスが走るのも日常の景色

 "2両編成"の「連節バス」もあります。全長は約18メートルあり、通常の路線バスの1.5倍にあたる約130人を乗せることができます。多くの人をスピーディーに運び、渋滞の発生も回避する新たな交通体系「BRT(バス高速輸送システム)」をめざし、行政と協力して2016年に試行運行が始まりました。現在、西鉄グループで15台を保有し、福岡市と北九州市で走行しています。


福岡市中心部を循環する連節バス

 この連節バスを運転するには高い技術が求められ、特別な訓練を受けた運転手だけが運行を任されます。ハンドルを握ることができるのは、グループにおよそ4000人いる運転手のうち約70人だけだそうです。



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「バスナビ」で調べて安心

 どのバスに乗ればいいの? そんなときに助けてくれるのが、100万ダウンロードを超える人気アプリ「にしてつバスナビ」です。現在地と目的地、時刻などを入力すると、条件に合うバスの情報が表示されます。渋滞による運行状況などもリアルタイムで把握でき、自分が乗りたいバスがどの停留所まで来ているのかもわかります。


博多駅から天神までの経路を調べたときのアプリの画像

 最後に、西鉄バスの「乗り方」です。東京23区を走る「前乗り・定額運賃」の都営バスとは違い、車両中央のドアから乗車し、距離に応じた運賃を払って前のドアから降ります。ただし、博多駅や天神、キャナルシティ博多などの人気施設がすっぽり入る「福岡都心100円エリア」は、どこで乗り降りしても100円の均一運賃が設定されています。


西鉄バスの100円エリアマップ


 福岡―北九州をつなぐ高速バス、福岡や北九州地区の1日フリー乗車券などもあります。バスを乗りこなして行動範囲を広げ、福岡ライフを楽しんでください。


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