ラーメンだけじゃない! 福岡県民が愛してやまない「うどん」のおはなし

記事 INDEX

  • 福岡の王道!ごぼう天うどん
  • 北九州生まれの焼きうどん
  • やっぱりラーメンも食べたい

 「福岡グルメ」と聞くと、ラーメン、もつ鍋、明太子などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし地元では、うどんに対する熱量も並々ならぬものがあります。24時間営業のうどんチェーン店があり、「本当のうどん県は福岡」と自負する人もいるほどです。各地の麺を食べ歩いているヌードルライター・山田祐一郎さんに、福岡のうどんについて教えてもらいました。


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うどん県・福岡!?

 「なぜ福岡でうどん?」
 不思議に思う人も多いはず。実は、福岡はうどんと関わりが深い土地なんです。


福岡の麺料理に詳しい山田さん

 福岡市博多区の承天寺には「饂飩(うどん)蕎麦発祥之地」と刻まれた碑が立っています。山田さんによると、寺の開祖・聖一国師が鎌倉時代に製粉技術を大陸から持ち帰り、小麦粉の大量生産が可能になったことに由来するそう。以来、うどんが全国に広がったとされます。最も古いものは平安時代に弘法大師・空海が唐から讃岐に伝えたとの説もありますが、山田さんは「福岡からうどん文化が広がったのは確か。"産業革命の地"と言っていい」と力を込めます。


承天寺にある「饂飩蕎麦発祥之地」の碑


 福岡市に伝わる「博多うどん」は、柔らかい麺と薄口しょうゆの透き通るスープが特徴です。なぜ柔らかいのか? それは、せっかちな博多商人を待たせないように、麺をゆで置きしておく料理法が根付いたからといいます。客に出される前に、麺は水分を吸って柔らかくなります。「『安い、早い、うまい』を満たした食事として広まったのが福岡のうどん」。山田さんが話してくれました。


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まずは、このうどんを食べて!

 「1日1麺」をモットーに、これまで5000食以上の麺料理を食したという山田さんに、オススメの店を教えてもらいました。「福岡市内にうどんの名店はたくさんありますが、最初に食べるならここがいいかも」と案内してくれたのは、福岡市中央区の「因幡うどん」渡辺通店です。約70年続く老舗で、市内に8店舗を展開しています。


歴史を感じさせる「因幡うどん」渡辺通店の外観

 注文したのは、ごぼう天うどん(税込み500円)です。2分ほどたつと…もう出てきました。


「因幡うどん」渡辺通店のごぼう天うどん

 スープは透き通った黄金色。ダシの旨味が効いて、やさしい味です。麺は柔らかくてふわふわ。箸で挟んで軽く力を入れると切れてしまうほどです。山田さんは「やっぱりこれですね」と、どんどん食べ進めていきます。私も注文し、あっという間にスープまで飲み干してしまいました。


夢中でうどんを食べる山田さん

 福岡の人はごぼう天うどんが大好き。たいていの店では、席に座っている間に「ゴボ天」「ゴボ天」とあちこちからオーダーの声が聞こえてきます。「丸天」も人気のあるトッピングです。山田さんは「スープはもちろん麺のコシや太さなど、店によって違いがあります。そんな個性を楽しみながら店を巡ると、楽しい"麺活"を送れると思います」とアドバイスしてくれました。


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北九州で生まれた焼きうどん

 北九州市には、また違う趣の名物があります。それは焼きうどん。北九州は焼きうどん発祥の地といわれ、「小倉焼うどん」の名で親しまれています。乾麺、豚バラ肉を使うことなどが条件で、これも店それぞれの個性が楽しめます。


JR小倉駅周辺には「小倉焼うどん」を楽しめる店がいくつもある


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やっぱりラーメンも食べたい

 うどんを食べたら、やはりラーメンも気になります。福岡の麺事情に詳しい山田さんオススメのラーメン店はこちら。福岡市博多区にある「博多うま馬」祇園本店です。


博多ラーメン発祥の店の流れをくむ「博多うま馬」祇園本店

 博多ラーメンの源流ともいわれる屋台「三馬路(さんまろ)」で修業した方が開いた店です。源流博多ラーメン(税込み650円)を注文しました。福岡で主流になっている細麺ではなく、昔からの平打ち麺を使っており食べ応えがあります。スープは白濁というほどでもなく、豚骨特有のコクの中にあっさりした後味を感じました。


どこか懐かしい味がする源流博多ラーメン

 福岡県内にはあちこちに麺料理の名店があります。観光スポットを巡りながら、その土地の麺料理店に入って、お気に入りの一杯を見つけてください。


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